2014 Fiscal Year Annual Research Report
自己注目の2側面と抑うつ:問題解決を通じた抑うつ低減のための方略の検討
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13J08912
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森 正樹 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 抑うつ / 自己注目 / 問題解決 / 脱中心化 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度の研究において,省察が学習課題中の問題解決行動 (学習行動) の増加を通じて問題解決のパフォーマンス (テスト得点) に寄与することが確かめられた。平成26年度では追加分析として,学習時間を1分ごとに区切り,1分ごとの問題解決行動とそのMSSD (Mean-Squared Successive Difference) を算出した。省察との関連を検討したところ,省察は問題解決行動の平均値,MSSD両方の増加を通じて問題解決のパフォーマンスに寄与することが確かめられた。このことから,省察は全体的に問題解決行動を増加させると同時に超短期的な分散学習も促進させることが示唆された。省察と分散学習の関連を示唆する初めての結果と言える。 続いて省察の適応性のリソースがどこにあるのかを検討するために,脱中心化状態との関連を検討した。平成25年度の研究で省察が脱中心化状態を促進することはわかっているが,それにより精神衛生が向上するかまでは検討できていない。そこで質問紙調査によりその点を検討した。横断調査の結果,反芻は脱中心化の低さを通じて高い抑うつ症状と関連していた。対して省察は脱中心化の高さを通じて抑うつ症状の低さと関連していた。横断調査なので因果関係については深く議論できないものの,省察の適応性の源泉が脱中心化にあることを示唆する結果と言える。このことから,適応的な自己注目を促進するためには脱中心化という概念が重要になると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の研究では省察と問題解決の関連だけではなく,分散学習とテスト課題の関連にまで踏み込んだ分析を行い,省察がどのようなメカニズムで問題解決に寄与するか踏み込んだ研究となった。さらに適応的自己注目の獲得を目指した介入法を提案する足がかりとして,省察と脱中心化,抑うつ症状の関連を明らかにした。これは省察の特性の解明に示唆を与えるものであり,今後の介入研究につながる重要な知見である。これをもとに平成27年度の研究のための予備実験も実施した。 また国内外において積極的に研究発表も行うことができた。さらに平成26年度では2本の英語論文が採択された。平成26年度での研究により最終的な目的である介入研究に向けた準備が整っており,期待以上の研究の進展があったと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度ではこれまでの知見をもとに,省察を高め,問題解決能力を向上するための介入を行う。また,問題解決能力の向上が抑うつの低減に寄与するかどうかも検討する。具体的にはself-distancingやマインドフルネスの技法を取り入れて,省察を増加させるための誘導法を開発する。その際,その後の介入を見据えてオンラインで1人でも実施可能になるようにする。 その後,その誘導法を用いたオンライントレーニングを行い,省察の増加が問題解決に寄与するか,そして抑うつの低減が見られるかを検討する。問題解決などの測定は日記法による測定と経験サンプリング法による測定を行う予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] 抑うつと自己注目2014
Author(s)
森正樹
Organizer
日本心理学会第78回大会
Place of Presentation
京都府,京都市,同志社大学今出川キャンパス
Year and Date
2014-09-10 – 2014-09-12
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