2013 Fiscal Year Annual Research Report
抗体に代わるナノバイオデバイス構築に適した高選択性分子認識ペプチドの開発
Project/Area Number |
13J08919
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
望月 佑樹 埼玉大学, 大学院理工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | ペプチドアプタマー / アミノ基認識 / cDNAディスプレイ / ジスルフィドリッチペプチド / ファージディスプレイ |
Research Abstract |
本研究は、ナノテクノロジーに用いられている各種材料に適したペプチドによる認識機能分子の開発を目標とした。特に人工的に架橋構造を組込んだペプチドを認識機能分子として利用したいと考え、抗体では作製が困難な低分子化合物を認識する架橋構造含有ペプチドの創製を目指した。 具体的には、進化工学的技術であるcDNAディスプレイ法を用いて、複数のジスルフィド架橋を有するペプチドライブラリから低分子化合物(ビオチン)を認識するペプチドの取得を試みた。その過程で当初の予想とは異なりさらに分子量が小さい官能基(アミノ基)を認識する30アミノ酸からなるペプチドの取得に成功した。ペプチドによるアミノ基のような官能基の認識は世界でも類がなく、引き続き解析を進めた。分子認識能を有するジスルフィド架橋の組合せを解析した結果、Cys3-Cys11、Cys25-Cys28にてジスルフィド架橋しているペプチドのみがアミノ基に結合することが判明した。さらにアミノ基修飾された多様な固相表面上に結合することからアミノ基を認識していることが明確にとなった。また、システインをアラニン置換するとアミノ基認識能が失われることから、二組のジスルフィド架橋がアミノ基認識に必須であることが明らかとなった。さらに円二色性測定により二組のジスルフィド架橋が二次構造形成を促進していることが判明した。 本ペプチドはl^<st>Cys-2^<nd>Cys、3^<rd>Cys-4^<th>Cysというジスルフィド架橋パターンを有する機能ペプチドの初の創出例である。また、従来ペプチドによる官能基認識は報告されておらず、本成果は架橋構造の組込みによりペプチドの分子識別能を拡張できることを示唆している。ペプチドを抗体に代わる認識機能分子として利用する際に分子認識能の拡張は重要であり、本成果はこの分野の発展に寄与した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
cDNAディスプレイ法を用いて複数のジスルフィド結合を有する低分子認識ペプチドの取得に成功し、ジスルフィド結合と機能の関連についても解析が終了しているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、親和性の測定とNMRによるアミノ基認織メカニズムの解析を進めたいと考えている。一方で、当初の計画では、NMR解析と並行して変異体ライブラリを作製し進化工学的手法による親和性の向上を試みる予定であったが、アミノ基という極めて小さい分子と相互作用するペプチドに対して完全ランダムに変異を加え進化を試みることは効率的でないと判断した。あらかじめNMR解析により分子認識メカニズムを把握したうえで変異を加える箇所等を検討し、変異体ライブラリの作製に取り組みたいと考えている。
|
Research Products
(5 results)