2014 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア・アブラヤシ生産地域におけるポリティカル・エコロジー研究
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13J08921
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺内 大左 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 東カリマンタン / リアウ / アブラヤシ / 地域住民 / 生計戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は地域住民の生計戦略の変遷をマクロな政治経済環境の変化と関連付けながら明らかにするために、スマトラ島リアウ州において2度のフィールドワークを実施することを計画していた。予定通り2度のフィールドワークを実施し、もう一つの調査対象地域である東カリマンタン州パセール県においてもフィールドワークを実施することができた。 リアウ州ではリアウ州内のグランドトゥルースとリアウ州シアク県にある第5国営農園企業にて聞き取り調査を実施した。グランドトゥルースの結果、バリサン山脈の急斜面まで住民によるアブラヤシ農園開発が行われている状況が明らかになった。国際的需要の高まりを受け、高収益の見込めるアブラヤシ農園を住民が拡大している実態を象徴するような光景であった。第5国営農園企業の住民農園(プラスマ農園)担当者への聞き取り調査から、アブラヤシ生産を行う地域住民の協同組合が統制を欠いていることが明らかになった。地域住民が土地所有証明書を取得することで自由に経済活動を行うようになったこと、協同組合内における横領問題などが理由として挙げられた。 東カリマンタン州パセール県では第13国営農園企業および周辺村、アブラヤシ生産関連組織(協同組合、プロジェクト実行組織、農民組合)、行政機関にて聞き取り調査を実施した。調査の結果、2012年頃から民営搾油工場、仲買企業が次々に出現することで地域住民のアブラヤシ果房をめぐる競争が生じていることが明らかになった。アブラヤシ生産は、果房収穫後1~2日以内に搾油しなければならないという特徴がある。そのため農民は企業に従属することになると問題視されてきた。しかし、売り手市場の現在、「企業への従属」とは大きく異なる状況が生じていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度中に地域住民の生計戦略を明らかにするためのインテンシブな調査を行う予定であった。しかし、概要を把握するための調査にとどまってしまった。理由はこれまでの調査結果に基づく学術論文作成、学会発表に時間をかけすぎてしまい、十分な調査時間を確保することができなかったためであると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、27年度は調査のための時間を確保し、効率的に調査が行えるように準備する。
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Research Products
(4 results)