2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J08965
|
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
井上 未知美 宇都宮大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 高諧調表示 / プロジェクタ / 多重投影 / 印象評価 |
Research Abstract |
高臨場感を与える高階調表示に関する研究として、今年度は、高階調表示装置の精度向上と高階調表示が与える印象の調査を行った。まず、本研究では2台のプロジェクタを重ね合わせて1枚の高階調画像を表示するため、各プロジェクタの投影面を画素単位で重ね合わせる必要がある。これまでは、ホモグラフィ行列による幾何補正によりプロジェクタの投影面を重ね合わせていたが、この方法では、線形的な歪み補正に限定されており、レンズやスクリーンの凹凸による曲線の歪みに対応することができなかった。そこで、各画素の位置情報を取得するため関連研究を基にグレーコード法を用いた。各プロジェクタからグレーコード画像を投影し、投影面をカメラで撮影して撮影画像から座標を算出することで、各画素の位置情報を取得することができる。結果、改良した方法では、レンズやスクリーン等の曲線の歪みにも対応することができた。次に、ITU-R BT, 710に基づき実験環境を設定し、異なる階調数の印象変化を調査した。実験装置の輝度範囲を0.035~249.3cd/m^2に限定し、関連研究から収集した643語にKJ法を適用して選定した29語の評価語を用いて印象評価実験を行った。その結果、評価語は4つの因子に分類され、特に「好ましさ」や「現実の見えに対する再現性」を表す語について階調数の違いによる変化が顕著に見られた。画像の「印象の強さ」を表すような評価語については、画像により変化が見られるものと見られないものがあった。以上の結果より、階調数の違いによる印象変化に適した評価語として「好き」「嫌い」「滑らかな」「粗い」「自然な」の5語を提案した。最後に、提案した評価語を用いて高階調表示が与える印象の調査を行った結果、投影する画像の内容に大きく依存して印象が変化することがわかったため、コンテンツと印象の関係性について今後詳しく調査する必要がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の後期は、高臨場感を与える階調表現の調査を行う予定であったが、前期に予定していた表示装置の精度向上に時間がかかり、予定していた調査が終わらなかった。予想以上に時間がかかった原因として、実験装置の特性の取得に時間がかかったためである。また、調査実験後に不備が見つかり再実験を行う必要が出たため、予定よりも研究の進捗が遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
表示装置の精度向上に努める中で、実験機器の特性の不安定さやこれまでの表示装置の精度に新たな課題が見つかった。従って、改めて高階調表示装置の精度を高め、実験に臨んでいく。また、階調数の増加が与える印象変化には表示内容が大きく関わることがわかった。よって、階調数と輝度差だけでなくコンテンツにも着目して印象変化を調査していく。
|
Research Products
(4 results)