2014 Fiscal Year Annual Research Report
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13J08979
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松原 妙華 東京大学, 情報学環・学際情報学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 情報法 / 公益通報者保護法 / ジャーナリズム / 表現の自由 / 知る権利 / 取材源秘匿 / 情報公開 / 韓国公益申告者保護法 |
Outline of Annual Research Achievements |
ジャーナリストが知る権利や公共の利益に奉仕しながらも,内部告発者を保護し,社会的影響に配慮した報道が可能となる方法を明らかにすることを研究目的とし,研究実施計画に基づいて下記のとおり研究を行った。 (1)本年度は個別的な事案研究を行う計画とし、日本において「知る権利」に関して大きな転換点となった外務省秘密漏洩事件(西山記者事件)についての判例及び事案分析を行い、情報提供者の動機内容が告発報道に及ぼす影響や報道機関が標榜する「知る権利」の主体の捉え方に関する論点を得た。これに関連して,「公衆」や「知る権利」に関する文献や海外の新聞記事等を収集・精査し,「公衆」と他概念(群衆,大衆,国民等)との違いを明らかにした。 (2)社会的反響があった告発報道事案を対象に,告発者の方々にインタビュー調査を行い,また告発報道を継続的に行った取材班代表のジャーナリストの方からお話を伺った。昨年度に引き続いて,公益という視点での告発報道の重要性や継続報道における告発者への負担,告発者が求める保護体制など告発報道における新たな争点を得た。また内部告発報道に関する更なる知見を広げるため,様々な内部告発事案に関する裁判傍聴,特定秘密保護法や情報公開,報道倫理やジャーナリズム等に関するシンポジウム・勉強会への参加等を行った。 (3)東京弁護士会の韓国現地調査に同行させていただく機会を得たため,韓国の公益通報者保護制度に関する研究を優先的に行った。韓国法は報奨金・救助金制度や通報者情報の漏洩者への罰則規定等を備えた先進的なものであるが,運用面においては公益につながる通報が少ないことや報奨金等が供給されるまでの期間が長い等の課題が多くあり,保護制度の運用面の弊害をも含めた立法制度策定の必要性を強く感じた。(参照:研究発表欄「韓国公益申告者保護法にみる市民参加を実現する法制度のあり方とメディアの役割」)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究計画の通り,(1)は現在論文として発表すべく執筆中である。(2)に関しては,インタビュー準備を昨年度から行っていたため順調に調査を遂行することができた。(3)は本年度の計画としていなかったが,弁護士会の調査に同行して,世界的にも先進的な内部告発者保護法である韓国法の運用情況を見ることができ,告発者保護に関する実際的な示唆を得,成果を公表する機会も得ることができたため,総合的に1の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)昨年度・本年度と同様に今後も継続的に裁判例の収集及び事案検討を行う。昨年度は総合的な事案分析を,本年度は個別的な事案分析を行ったが,公益通報者保護法施行前のものであるため、次年度は最近の、もしくは現在も係争中の内部告発報道に関わる事案の分析を行う予定である。 (2)インタビュー調査は内部告発報道の実状を知る上で欠かせないため,インタビュー調査が困難な事案については事案の変更を行いながら,当事者の方々の理解と協力を得ながら研究倫理の観点からも慎重に,可能な範囲内で引き続きインタビュー調査を行う予定である。 (3)英米の内部告発報道に関する裁判例及び事案を収集し,分析を行う。研究計画に記載しているアメリカの現地調査がまだ行えていないので,アメリカの事案に付いても資料収集を行い、アメリカの内部告発者保護制度や告発報道との比較研究を行う予定である。
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Research Products
(1 results)