2014 Fiscal Year Annual Research Report
スポーツ競技者のレジリエンス行動モデルの構築に関する研究
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13J08999
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
上野 雄己 桜美林大学, 大学院国際学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | レジリエンス / 縦断的研究 / スポーツ競技者 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度では,平成25年度の知見に基づき,横断的研究では把握できない時間の経過がスポーツ競技者のレジリエンスに及ぼす影響性を明らかにすることを目的とした。縦断的な視点から,スポーツ競技者のレジリエンスの機能やレジリエンスを高める要因を検討することは今後,実践かつ応用的な研究を行う上で重要な知見が得られるであろう。そこで本研究では,質問紙法による,同一の調査対象者に,同一内容の項目群を一定のインターバル(約3ヶ月)をおいて3回実施する3波のパネル調査を実施した。これらの概要および知見を以下のようにまとめた。 1.スポーツ競技者のレジリエンスがバーンアウト傾向に及ぼす影響性の検討を行った。その結果,Time1の時点でレジリエンス高群の方が低群と比較して,バーンアウト傾向の得点が低いことが示された。さらに,レジリエンス高群はTime2の方がTime1と比較して,バーンアウト傾向の得点が高くなる一方で,Time2からTime3にかけてバーンアウト傾向の得点が低くなることが明らかにされた。以上の結果から,スポーツ競技者のレジリエンスはその時点でのバーンアウト傾向を緩和させる機能だけでなく,一時的にバーンアウト傾向を高めても,元の状態へと回復を促す働きをするという結果が示された。 2.スポーツ競技者のレジリエンスとメンタルヘルス,競技パフォーマンスとの関連の検討を行った。その結果,スポーツ競技者のレジリエンスと部活動適応感,自尊感情,競技パフォーマンスとの間では,時期によって因果を示すパスの方向性が異なることが示された。以上の結果から,レジリエンスがメンタルヘルスや競技パフォーマンスに対して正の関連がある一方で,部活動適応感,自尊感情,競技パフォーマンスがレジリエンスの形成・獲得に影響するという結果が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成26年度では,縦断的研究による,スポーツ競技者のレジリエンスの機能やレジリエンスを高める要因の検討を行い,新奇性の高い研究結果が得られた。また,研究の進行状況も順調であり,平成25、26年度で得られた知見は査読付き論文として4報受理され,また国際学会にて2報のポスター発表を行った。内1報は,「ヤングヘルスサイコロジスト賞」を受賞し,国内外において本研究を高く評価してもらえている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究において,スポーツ競技者のレジリエンスを時系列的に解析するために,縦断的研究による,レジリエンスが生起するまでのプロセスやレジリエンスを高める要因に関して調査を行い,多角的な知見を得ることができた。しかし一方で,6ヶ月という短期間での調査であったことから,得られた結果は慎重に検討していくことが望まれ,今後も継続して検討を試みることが重要であろう。平成27年度では,スポーツ競技者のレジリエンス育成を念頭に置いた介入プログラム開発を行うため,多くのエヴィデンスが必要となる。そのため,平成25,26年度の研究を継続し,最終的に介入プログラムを開発したいと考える。
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Research Products
(13 results)