2015 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀前半の南米南部三カ国における近代スポーツの発展に関する歴史的研究
Project/Area Number |
13J09034
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松尾 俊輔 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | ウルグアイ / 政治社会史 / 近代史 / スポーツ / 市民性 / 国家 / 社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題が対象とする3カ国のうち、本年度の研究活動は昨年度までに研究成果が形になっていなかったウルグアイを中心に進められた。 第一に、近現代ウルグアイの政治史、社会史、思想史に関わる二次文献の検討を進めた。とりわけ、20世紀初頭のバジェ=イ=オルドニェスによる政治社会改革及びそうした改革を支えた政治思想についての理解を深めた。こうした購読から、本研究課題の主題となる「公」と「私」との相克を理解する上での鍵概念として、「市民性」の概念を抽出し、この点について西洋思想史に位置付けつつ理論的に深めた。また並行してこれまで収集してきた一次資料の検討も進め、20世紀初頭のウルグアイにおけるスポーツと国家との関係についての歴史的事実の再構成を行った。 これらの結果は8月にクロアチアで行われた国際体育・スポーツ史学会にて口頭で発表した。ここでは、20世紀初頭ウルグアイにおけるスポーツの国家的制度化の過程を、国家が諸スポーツ連盟の萌芽期に積極的に介入して制度化を進めた1910年代初頭の時代を経て、1920年代半ば以降次第に各連盟の自治を拡大させるとともに、限られた予算の中でスポーツへの安定した公的支援の方法を模索するに至る過程として描出した。 1月から3月にかけて、ウルグアイに渡航し現地調査を行った。この渡航では、最重要資料である身体教育委員会議事録の該当期間分全ての収集、分析を終わらせた上で、新聞や雑誌等の新たな資料についても検討を行った。これにより、公的資料から得られた知見を補足するとともに、それを相対化する視角を獲得した。 また、チリの事例に関しての研究論文を一本執筆した。これは、スポーツを管轄する国家官僚機構設立を契機とした1923年の「スポーツ大分裂」と呼ばれる出来事に着目し、近代国民国家形成の過程で、国家と市民社会との間の安定的な関係性を築くことの困難について論じるものであった。
|
Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(1 results)