2015 Fiscal Year Annual Research Report
角度分解光電子分光による極性半導体のスピン軌道相互作用の研究
Project/Area Number |
13J09046
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂野 昌人 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 角度分解光電子分光 / トポロジカルバンド構造 / 空間反転対称性の破れ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、主に下記の3テーマについて、角度分解光電子分光法(ARPES)を用いた強いスピン軌道相互作用と空間反転対称性の破れが創るスピン分裂バンド構造の直接観測と、第一原理バンド計算を基にした微視的機構の解明を目指して、研究を行った。 1.レーザーARPES装置の改良と汎用化 望遠レンズ付きの高感度カメラを用いて2方向から測定試料をリアルタイム観測することによって、~0.1mm程度の試料でも、高精度にフェルミ面の測定を行うことが可能となった。装置性能の評価を行った結果、角度分解能< 0.2度、 偏光度>99%、および測定試料上のレーザーのスポット径~0.1mmを達成した。 2.極性半金属MoTe2におけるトポロジカルバンド構造の研究 MoTe2は低温相において、スピン偏極したアーク状のトポロジカル端状態が存在することが示唆されている。本研究では、自ら開発を進めてきたレーザーARPES装置を用いて、極性を有する結晶構造の表と裏において、異なるトポロジカル端状態が形成されていることを明らかにした。 3.PdBi2における超伝導状態の研究 東大物性研辛研究室と共同研究を行い、低温(~1K)まで到達可能なレーザーARPES装置を用いて、バルクとトポロジカル表面バンドの超伝導状態の電子状態を精査した。転移温度以下において、トポロジカル表面バンド構造においても、フェルミ準位の状態密度が減少し、超伝導ギャップが開く様子が観測された。 本研究課題を通して、当初想定していた極性半導体という範疇を大きく超えて、超伝導体を含む多様な物質において普遍的に存在するスピン軌道相互作用の役割やトポロジカルな性質を明らかにすることに成功した。さらに、所属研究室において1meVを切る高分解能測定が可能なレーザーARPES装置を定常運転化に至らせ、様々な物質の電子構造の高精度・短時間測定を可能にさせた。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Momentum-dependent sign inversion of orbital order in superconducting FeSe2015
Author(s)
Y. Suzuki, T. Shimojima, T. Sonobe, A. Nakamura, M. Sakano, H. Tsuji, J. Omachi, K. Yoshioka, M. Kuwata-Gonokami, T. Watashige, R. Kobayashi, S. Kasahara, T. Shibauchi, Y. Matsuda, Y. Yamakawa, H. Kontani, and K. Ishizaka
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Journal Title
Physical Review B
Volume: 92
Pages: 205117(5)
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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