2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J09109
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Research Institution | NTT Communication Science Laboratories |
Principal Investigator |
白間 綾 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所, 人間情報研究部, 客員研究員
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Keywords | 眼球運動 / 個人性 / 社会認知 |
Research Abstract |
本研究の目的は、視線情報の解読とその心理社会的影響を総合的に理解することである。これまで申請者は、自由発話中の話者の眼球運動の測定と、多変量解析を通じ、眼球運動情報には話者の個人性が表れていることを明らかにした。加えてCGアニメーションによって人間の眼球運動を再現した刺激を使った実験から、人間の観察者が眼球運動情報のみから個人識別が可能なことも明らかになった。しかし、発見された視線パターンに見られる個人性の生起メカニズムはよくわかっていない。そこで25年度はまず, 眼球運動にみられる個人性がパーソナリティを反映しているかを検討するため、BigFive, STAI, BIS/BAS(行動抑制/行動活性)といった尺度を使い実験参加者の性格特性を測定し、眼球運動特性との関係を分析した。25名程度の参加者から, 視線データと性格特性のデータを収集し分析したが, これまでのところ眼球運動特性と性格特性の明確な関係を見いだすことはできていない. しかし, 眼球運動データにみられる個人特性から, 25名の参加者を数学的に判別することが可能であることがわかり, 現象の再現性を確認することができた. また, 異なる視覚環境や, 数ヶ月を挟んで同一の参加者に対し実験を繰り返したことで, 眼球運動にみられる個人性が, 視覚環境や長い時間の経過を経て一貫していることが明らかになった. これらの結果は, 国内外の学会で報告し, また論文としてまとめ科学雑誌に投稿した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度は事前の研究計画に基づいた実験をほぼ予定どおり実施した。加えて、次年度以降に開始を予定していた自閉症スペクトラム障がい者を対象とした研究についても、医療機関と連携し研究を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度に得られた研究成果の早い論文化を目指すため、より実験を効率的に行うことをめざしたい。現在行っている自閉症スペクトラム障がい研究では、患者との日程調整が困難だったり、コントロール群を合わせた実験参加者のIQデータ取得にも時間がかかるため、なかなか効率的に実験を行うのが難しい状況にある。研究成果の早い論文化を実現するため、研究所内で自閉症スペクトラム障がい研究を行っている他の研究者と協力し、これらの問題を解決していきたい。
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Research Products
(4 results)