2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J09147
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 信 東京大学, 社会科学研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 第一次世界大戦 / パリ講和会議 / 船舶管理 / 日米交換 / 建築と政治 / 国会議事堂 |
Research Abstract |
25年度において主たる目的としていた、史料収集とデジタル史料の利用については、計画以上の結果の成果を得ることができた。国内の史料については、デジタル史料も用いながら、計画通り、国立国会図書館憲政資料室、国立公文書館、外交史料館などでの史料収集を行った。この調査の途中で国会議事堂の建築過程に関する調査会資料を発見したことから、これを整理して研究発表も行った。若干、本研究の本筋からはズレているようにも思われるが、資料の限定によってこれまで進んでこなかった議事堂建築過程の実証研究として価値があるため、26年度も研究を継続したい。 本筋の研究については、国内の史料のみならず、海外の史料の収集も順調に進行した。特に台湾・中央研究院など、当初予想していた以上に海外史料のデジタル化が進んでいたことは幸いであり、それらを十全に利用することで、計画していた台湾での史料調査をスキップして当初26年度に予定していたアメリカでの史料調査まで行うことができた。アメリカでは特に戦時船舶管理や日米船鉄交換について議会図書館にてBreckinridge Long Papers, Roland S. Morris Papers、国立公文書館ではShipping Board及びWar Trade Boardに関する文書を収集した。船舶管理や船鉄交換について日米両国の資料を精密に用いた研究が未だないことから、これらの史料は、今後精緻な検証を行うことで、造船・海運を通じた日本の統治構造と国際秩序との連関について考える手がかりになるものと期待される。ただし、船舶管理・船鉄交換に関する史料収集しか果たせなかったことから、アメリカでの史料収集は次年度以降も継続の必要がある。 その他、計画していた本多精一、前尾繁三郎に関する史料調査・収集は時間・資金両面から実行できなかった。資金面の理由から今後とも本研究における調査・収集は困難と判断し、当分は本研究の枠内から外すこととしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上述の通り、計画していた史料調査・収集のうちかなわなかったものもあったが、全体としては効率のよい史料収集が果たせたほか、当該収集から期待通りの史料と、そして思いがけない発見を得ることができているという点において、当初の計画以上の進展と評価してよいと考える。26年度においても、史料の分析と同時に、収集も未だ予定されていることから, 25年度と同等の収集を行えるよう努めたいと思う。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も史料収集及び分析を継続する。ただし、本年度の運用から資金面でかなりの制約があることが理解されたことから、次年度以降ははじめから収集対象を限定することで、コンパクトな収集・分析体制をつくりたい。なお、国会議事堂に関する研究に伴い、26年度に収集・分析を試みる史料として日本銀行金融研究所所蔵の長野宇平治関係文書があり、すでに利用請求の手続きを始めている。
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