2013 Fiscal Year Annual Research Report
マウスのコミュニケーションにおける発声パターンの多様性と扁桃体の寄与
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13J09181
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 結 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マウス / 超音波発声 / 求愛行動 / 攻撃行動 |
Research Abstract |
オス-オス、オス-メスそれぞれ対峙した際の録音、録画を行った。マウスの超音波発声がコミュニケーションの文脈によって変化するかどうかを検討するため、それぞれの条件時の発声について発声の量や音響学的特性を調べた。その結果、オス-オスの時よりもオス-メスの時の方がシラブル(無音区間で区切られた発声の単位)の総数は有意に多く、録音中の総発声時間も長かった。また、オス-メスの時の発声の方がオス-オスの時の発声よりも平均ピーク周波数が低く、平均音圧も高いことが明らかとなった。このことから、オスマウスはオスを提示した時よりもメスを呈示した時のほうが、より低周波数の大きな発声を長い時間発することがわかった。さらに、詳細な行動と発声との関連を比較するため、画像と発声を同期させた解析を行い、発声の量や音響的な違いを検討した。その結果、オス-オスとオス-メスのSniffing(匂い嗅ぎ行動)行動中の発声に大きな違いは見られなかったが、sniffingとmounting(マウント行動)の発声間において音圧やシラブルパターンの割合の違いが見られた。Mounting中の発声はsniffing中の発声に比べ音圧も大きく、発声時間の長いシラブルを多く含んでいた。これらの結果から、先に述べたオス-オス間とオス-メス間の発声の違いはこのmounting中の発声の違いが大きく影響している可能性が高い。このことはオスがメスに対してのみmountingに伴う特別な音声を使用している可能性を示しており、この発声がメスに対して特別な情動状態や性行動を引き起こす可能性を示唆する。また、この発声は他の行動時の発声よりも高い音圧を示したことから、発声側のオスがより情動的に昂ぶった状態であることを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
いくつかの問題や改善点はあるが、計画通り実験①の結果が得られている。また、次の実験に必要な装置や技術の獲得といった準備も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
- オス特有の行動に伴う発声が録音できていない可能性がある 対応策 : 録音時間を長くする、録音環境を改善する - 発声分類方法が妥当かどうか 対応策 : 基準とするデータの再解析、他の方法による分類を行う。 - 聴力の測定 対応策 : ABR(聴性脳幹誘発電位)を用いた聴力の測定を行う。
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Research Products
(4 results)