2014 Fiscal Year Annual Research Report
マウスのコミュニケーションにおける発声パターンの多様性と扁桃体の寄与
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13J09181
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 結 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マウス / 超音波発声 / コミュニケーション / 発声分類 |
Outline of Annual Research Achievements |
オス-オス、オス-メス、メスーメスの3条件において、マウスのコミュニケーション時に観察される超音波発声を記録した。その結果、どの条件間においても初期に観察されるシラブル(無音区間で区切られる音の単位)の平均発声時間は短く、約1分前後のインタラクション後長くなるということがわかった。また、シラブル数や発声時間は時間とともに減少していくが、オス-メス条件下において観察されるマウント行動時には他の条件下の発声と比較し発声数や発声時間が長くなる傾向にあることがわかった。 さらに、先行研究をもとにした分類基準に加えて発声時間を指標に加えた11タイプに発声を分類した。その結果、3条件全てにおいて11タイプの発声が観察されたが、分類したそれぞれの発声の割合は条件間や時間、行動によって変化することが示された。全ての条件下において、初期の発声はUpwardやOne jump shortのような短いシラブルの割合が高かった。オス-オス同士の発声パターンはインタラクション中ほとんど変化しなかったが、オス-メスやメス-メス同士では中期・後期において発声パターンが変化し、初期よりも発声平均時間の長いシラブルを多く発することがわかった。特にマウント行動時には複雑で長い発声のHarmonicsが連続して観察された。これらの結果は、マウスは性別に関係なく様々な音声を発するが、その発声の割合は文脈や時間、行動によって変化することを示した。さらに、このような発声の時間的・行動的な変化から、分類したシラブルのタイプに重複がある可能性が示された。この発声分類における重複の可能性については次の提示実験において検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳活動を記録する実験が遅れてはいるが、今後の実験に必要なマウスの発声分類に問題があることを発見し、順調に解決に向けて進んでいる。手法については多少変更の可能性があるが、最終目的の遂行に関しては問題ない。
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Strategy for Future Research Activity |
-発声分類が適当ではない可能性がある。 対応策:現在までに得られたデータによる分類に加え、聴性脳幹誘発電位による測定やオペラント条件付け行動試験によって動物にとって適切な分類法を模索する。 -測定する神経活動の妥当性 対応策:脳活動の記録の前に音声提示による行動の変化を先に観察する
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