2013 Fiscal Year Annual Research Report
同位体大気海洋陸面結合大循環モデルとデータ同化手法を用いた気候変動に関する研究
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13J09182
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡崎 淳史 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 大気海洋大循環モデル / 水安定同位体 / 気候変動 |
Research Abstract |
本研究の課題は同位体大気海洋陸面結合大循環モデルの開発と, その気候変動分野への応用である. 今年度はその根幹となる同位体モデルの開発を重点的に進めた. この作業は既存の大気海洋陸面結合大循環モデルであるMIROC5に同位体を導入するものであるが, このうち大気部分と陸面部分の開発とその検証を終えることができた. この結果, 降水同位体比の観測でよく知られる温度効果, 雨量効果, 緯度効果, 高度効果などの基本的な性質は確認することができたものの, 両図の相関係数は0.73であり, これはSWINGという同位体モデル相互比較プロジェクトに参加したモデルと比較すると最も低く(R=0.85~0.92), バイアスも最も大きかった(バイアス : MIROC5=2.9‰, SWING=0.29~2.0‰). 現段階では同位体に関するパラメタをチューニングしていないため, このような結果になったと考えられるが, さらなる改良が望まれる. 同位体モデルの多くは大気部分のみ, または大気陸面のみで構成されることが多いが, 本研究では海洋も同位体モデルに加えることを予定している. 海洋を結合する影響がどれくらいあるのかを見積もるためLiu et al. (2013)を基に簡易同位体海洋モデルを作成し, 海洋起源の蒸発同位体比の変化を海洋結合の影響として, これを推定した. この結果海洋結合の影響は4.3%程度であると見積もられた(図2の平均二乗誤差). 降水同位体比の年間の変化がおよそ10‰以内であることを考慮すると, この影響は大きく, 海洋と結合する価値は大いにある事が確かめられた. 上記の同位体モデル開発以外に, 水蒸気同位体の観測にも参加しており, それらの成果は下記研究発表として受理または発表されている. また既存の同位体モデル(Yoshimura et al., 2008)を用いて水蒸気同位体の年々変動の解析も行っており, それらの成果も同様に発表されている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度中に同位体大気海洋陸面モデルの開発を終え, 次年度には完成したモデルを用いて様々な実験・解析を行う予定であったが, 大気モデルのみを用いての実験・解析に時間を多く割いたため, やや遅れている. なお大気モデルを用いての研究も, 同位体をツールとした気候変動解析であり, 本研究課題に深く関連する内容であったことを記しておく.
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Strategy for Future Research Activity |
海洋モデルに同位体を導入し, 本年度に開発した大気陸面同位体モデルを結合させる. 完成したモデルを用いて, 結合のインパクトを評価する. また現在気候, 古気候においての再現実験を行い, 精度評価を行う.
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Investigating vegetation-atmosphere water exchange by using high frequency spectroscopy vapor isotope observations2014
Author(s)
Wei, Z., A. Okazaki, H. Maeda, Y. Satoh, M. Kiguchi, K. Noda, M. Koike, W. Kim, Z. LiU, and K. Yoshimura
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Journal Title
土木学会論文集B1(水工学)
Volume: (印刷中)
Peer Reviewed
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