2013 Fiscal Year Annual Research Report
Yang-Mills理論における有限温度スキルミオン解の研究
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13J09222
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村中 大地 名古屋大学, 大学院多元数理科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Yang-Mills理論 / スキルミオン / caloron / Atiyah-Manton構成法 / モノポールウォール / hyperkähler計量 |
Research Abstract |
近年caloronと同様に周期性を持つモノポールの研究が進んでいる。その文脈において、3次元ユークリッド空間の1方向に周期的な解はモノポールチェーン、2方向に周期的な解はモノポールウォールと呼ばれている。これらの解は、caloronと異なり非周期方向にエネルギーが発散するため解析が困難であるが、非周期モノポールと同様にNahm変換やスペクトル曲線を定義できることが明らかにされている。特に、モノポールチェーンにおいてはNahm構成法において対応するソリトン方程式であるHitchin方程式との関連についての議論がなされており、それに伴う新たなhyperkähler計量が求められている。一方、モノポールウォールのNahm変換は自己相反的であり、そのモジュライ空間の次元や境界条件はスペクトル曲線に対してNewton polygonやアメーバといった数学的な手法を用いて詳しく調べられている。 本年度の年次計画は、Atiyah-Manton構成法の数値プログラムを開発すること、及び既存の自明ホロノミーを持つ2,3,4-caloron等を用いて有限温度スキルミオンを構成してエネルギー密度等の物理量を計算することであった。しかし、数値プログラムを開発して計算した結果、現実の振る舞いとは合わない箇所が見られた。これは、従来のAtiyah-Manton構成法におけるインスタントンをcaloronに置き換える際の周期境界条件についての考慮が欠けており、フォーミュレーションに問題があるためと考えられる。この問題を解決する間、Na㎞変換によりcaloronを求める際に必要となるモノポールの研究を行った。その結果、二重周期性を持つモノポールウォールのモジュライ空間を解析することで新たな種類のhyperkähler計量を求めることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有限温度スキルミオンのAtiyah-Manton構成に着手し、問題点を明らかにできたため。また、ADHM/Nahm構成法においてcaloronに関連するモノポールの一種であるモノポールウォールのモジュライ空間め計量についての知見が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方針にっいては、引き続きAtiyah-Manton構成法の数値プログラムの開発及び既存の自明ホロノミーを持つ2,3,4-caloron等を用いた有限温度スキルミオンの構成を試みる。また、ADHM/Nahm構成法において関連するソリトン解のモジュライ空間の計量等についても調査する。
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Research Products
(5 results)