2014 Fiscal Year Annual Research Report
数値空力音響解析による航空機エンジン騒音の伝播に関する研究
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13J09225
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福島 裕馬 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 数値流体力学 / 空力音響解析 / 騒音 / エンジン騒音 |
Outline of Annual Research Achievements |
去年度までの研究では,境界埋め込み法を用いて,複雑形状周りの騒音伝播を高精度,実用的に解析できる基盤ソルバーを構築したため,本年度はこの基盤ソルバーを中心に発展させ,乱流騒音解析手法の検証,低騒音航空機形態の解析を行った. 前年度構築した乱流騒音解析手法の検証を行った.構築した解析手法はStochastic Noise Generation and Radiationモデルと言い,流れ場の解析と,乱流騒音源の発生,発生した騒音の伝播を分離して解析する.最初に,合成渦法により乱流場を発生させ,直接数値解析により得られた乱流場の特性値と比較することにより,その有用性を確認した.この際,従来用いられてきた乱流場発生手法と今回提案した手法を比較し,解析精度,計算時間を比較した.その結果,提案手法は他の従来手法よりも高精度に直接数値解析の結果を模擬しており,また,計算時間を従来手法よりも約30%低減することが確認できた. 低騒音航空機形態としてOver-the-Wing Nacelle形態においてエンジン騒音遮蔽効果と空力性能の向上を目的とした解析や設計探査を行った.まず,翼上面にエンジンナセルを取り付けた航空機形態の騒音低減に対する有効性を示すために,サウサンプトン大学において行われた無響室内での実験条件を再現した数値解析を行った.いくつかのナセル位置における翼下面での騒音遮蔽量を解析し,周波数帯ごとに騒音遮蔽特性を実験値と比較した.次に,ナセル前後位置,上下位置を変数として,応答局面手法を用いた設計探査を行った.騒音遮蔽効果の最大化と空力性能の最大化はトレードオフの関係にあり,ナセルと翼を近づけるほど騒音遮蔽量は増大するが,空力性能に関しては翼よりも後方にナセルを配置することにより,ナセルと翼の間の高速な流れ場が発生し翼に効果的に推力が発生することが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた研究項目に対して,本年度はおおむね100%達成することができた.構築したソルバーでの解析は安定してきており,並列化,大規模化もすでに達成されている.解析精度に関しても新しい手法を提案することにより,精度向上を行った.構築したソルバーを用いて,従来より予定されていた発展的な研究にも着手しており,着実に研究が進んできることを実感できている.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,今年度進めていた低騒音航空機形態の設計探査をさらに進め,新しい航空機形態を提案する予定である.この設計探査は,ひとつのケースを計算するのに大きな計算コストを必要とするため,他の研究者と連携して,学際大規模情報基盤共同利用・共同研究拠点公募型共同研究などに応募し,計算資源を確保することにより対応する.また,東北大学サイバーサイエンスセンターと共同研究を結ぶことによりセンター所有の最新型ベクトルコンピュータSX-ACEを割引料金で使用できる.
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Research Products
(6 results)