2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J09241
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
岡部 茜 立命館大学, 社会学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ひきこもり / 地域協同実践 / 若者ソーシャルワーク / 若者支援 / ピア |
Research Abstract |
今年度は、ひきこもりの若者・地域住民・親・支援者が地域において協同で実践を進めて行くことの意味や課題を明らかにするために、これまで行ったフィールドワーク調査の分析を進めるとともに、共同研究プロジェクトへの参加と新たな調査を行った。以下では、主要な部分をまとめたい。 第一に、若者支援実践を社会福祉学の枠組みから捉え直すことが必要であると考え、2011年度から調査を行っているNPO法人文化学習協同ネットワーク(東京)の実践分析をエンパワメントアプローチの視点から行った。この成果の一部は2014年3月2日の2013年度関西社会福祉学会年次大会で報告した。 第二に、地域での協同実践を検討する際には、地域性と若者の困難さの関連を検討する必要があると考え、離島での若者や家族の孤立状況に着眼し2013年3月に行った五島列島調査の分析を行った。分析では、離島における若者の育ちの難しさや実践者が直面している困難さ、そして今後の実践可能性の検討を行い、その検討結果の一部は2013年9月に行われた日本社会福祉学会第61回秋季大会で報告し、論文としては『立命館人間科学研究』第29号に投稿し、掲載された。 第三に、近年、「協同」という言葉には多様な意味が込められ、様々な意図を持って使用されることから、生活や発達を保障するための「協同」の内実を検討する必要性があると考え、和歌山県と滋賀県の実践に参加し、協同実践における「協同」の内実について検討することを目的とした調査を行った。 第四に、指導教員である山本耕平教授が行っている「ひきこもる若者を対象とするピアアウトリーチ支援者養成に関する研究」プロジェクトに参加し「支援される者」「支援する者」という関係性やその関係性に基づいた支援を乗り越える存在としてのピアの可能性を検討した。成果は報告書にまとめたが、今後更なる検討を行い、論文化を行う予定である。 第五に、イタリアと韓国の当事者や地域住民と実践者の協同を軸に実践を展開する実践体を訪問し、地域協同実践の最新動向の把握と先進事例にみる地域協同実践の可能性を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ひきこもり支援における協同実践モデルの検討のための調査や調査データの分析が着実に進行したこと、また本年度に行った調査や調査データの分析、実践者・研究者・当事者との意見交換を通して、本研究の目的を達成するための課題がより鮮明になるとともに、調査対象地も絞られ、次年度の研究計画がより精緻化されたことからおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初は、①東京・神奈川の実践, ②和歌山の実践, ③長崎県の実践, ④福島の実践, ⑤北海這の実践, の5つの実践体でのフィールドワーク調査を検討していが、本年度の調査、調査データ分析、意見交換を経て、ひきこもり支援における協同実践を検討する際には、「協同」の内実の詳細な検討とともに、近年注目されているピアスタッフの実践的役割の検討、若者ソーシャルワークの視点の整理と提起が重要であると考え、フィールドワークの主要な調査対象地を①、②に絞ることとした。ただし、ピアスタッフなどへのインタビュー調査等に関してはこの限りではない。
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Research Products
(4 results)