2013 Fiscal Year Annual Research Report
火山透視技術の高度化―宇宙線・重力観測の連携による3次元イメージング
Project/Area Number |
13J09317
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西山 竜一 東京大学, 地震研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 宇宙線ミューオンラジオグラフィー / 重力探査 / 原子核乾板 / 樽前山 / 昭和新山 |
Research Abstract |
宇宙線ミューオンラジオグラフィーにおける背景ノイズの原因を調べるために、北海道・有珠昭和新山に設置された原子核乾板の解析を行った。その結果、主要なノイズ源は、運動量が2GeV/c以下の(1)宇宙線電磁成分、あるいは、(2)地中で大きく散乱されたミュー粒子であることが明らかになった。これらのノイズへの対処法としては、乾板と鉛板を複数枚重ね合わせた「多層型検出器」を用いることが有効であることが分かった。 北海道・樽前火山の3次元密度構造推定に向けて、今年度は(1)宇宙線検出器設置位置の検討、(2)ドーム上・外輪山内での相対重力測定、が実行された。得られた重力異常データには、北西-南東方向の広域的な重力異常の勾配が見られた。この広城的傾向を取り除くと、ドーム上でおよそ2mgal程度の正の重力異常が見られた。これは、溶岩ドームを構成する高密度のマグマによる寄与であると考えられる。今後行われる宇宙線観測の結果と組み合わせることによって、溶岩ドームの3次元内部密度構造が決定できるだろう。 2014年4月現在、原子核乾板は世界のどこを探しても市販されていない。現存する乾板は名古屋大学などが主導するニュートリノ振動実験OPERAのために作られたものの残りのみである。この乾板(OPERAフィルム)も性能の劣化が進んでおり、新しく乾板を製作しようという機運が高まっている。私は、名古屋大学理学研究科基礎粒子研究室の協力を得て同研究室で、ミューオンラジオグラフィーに用いるための乾板の試作を行った。また、出来上がった乾板を用いたテスト観測を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
原子核乾板を用いた背景ノイズ源の特定、および、ノイズ低減方法の技術開発については十分な進展があった。樽前山での観測については、まずは相対重力観測が行われ、同火山頂上付近のおおまかな構造を理解することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
背景ノイズ低減対策を立てるためには、2次宇宙線生成のモンテカルロ・シミュレーションを行う必要があることが分かったため、シミュレーションコードの開発を研究計画に組み込みたい。 新型原子核乾板の製造については、試作したフィルムの性能評価を早急に終わらせ、大量製造に移る。
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Research Products
(6 results)