2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J09318
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奥村 将成 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 頂点代数 / カイラル同変コホモロジー / W代数 |
Research Abstract |
本研究における主対象の一つであり、かつ未知の部分の多いカイラル同変コホモロジーについての研究を行った。このコホモロジーは、通常の同変コホモロジーの代数的な構成法の頂点代数版を考えることで得られる頂点代数である。リー群の作用を与えられた多様体のカイラル同変コホモロジーが極めて重要であるが、複雑な構造を持ち直接取り扱うのが難しい。そこで、多様体の接束の一般化となっている概念であるリー亜代数に付随してカイラル同変コホモロジーが研究代表者により構成されたが、リー群の作用を与えられた多様体の情報を反映している特別なリー亜代数を通して、その多様体のカイラル同変コホモロジーを調べることとした。そのリー亜代数は変形リー亜代数と呼ばれるものである。まず、一般のリー亜代数に対して、リー亜代数に付随するカイラル同変コホモロジーの上の加群をそのリー亜代数の表現から関手的に得た。特に変形リー亜代数の場合には、リー環の表現からカイラル同変コホモロジーの加群が得られるが、これを変形リー亜代数がベクトル束として自明であることを利用して一般化し、与えられているリー群のリー環に付随するループ代数の部分代数の表現から、変形リー亜代数に付随するカイラル同変コホモロジーの上の加群を関手的に得た。さらに、変形リー亜代数がリー群の多様体上の作用を反映していることを用いて、多様体のカイラル同変コホモロジー上の加群が得られた。その加群はある複体のコホモロジーとして得られるが、リー群が可換である場合にそのコホモロジーが計算された。また、特別な変形リー亜代数に付随して、前述の加群の構成を修正することでW代数を含むような頂点代数の族が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究において多様体のカイラル同変コホモロジーの性質についてよく知ることは必要不可欠であり、それについての知見が得られた点では進展があった。また、リー亜代数まで枠組みを広げることで当初予定していなかった形でW代数が現れることが分かった。ヤンギアンとの関連を調べるという点では進展していない。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きカイラル同変コホモロジーについて考察する。特にリー群が非可換である場合にもカイラル同変コホモロジーの計算が行えるよう、可換な場合の計算手法の一般化を目指す。そしてそれも利用し引き続きヤンギアン作用の構成を目指す。また、変形リー亜代数の枠組みで得られたW代数を含む頂点代数も性質やカイラル同変コホモロジーとの関連も不明であるためその研究も進める。
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