2013 Fiscal Year Annual Research Report
ベトナム語の指示詞と文末詞-本国と在日ベトナム系コミュニティにおける運用の比較-
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13J09326
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安達 真弓 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ベトナム語 / 指示詞 / 文末詞 / 感動詞 |
Research Abstract |
ベトナム語指示詞についての実験を行う前段階として、日本語母語話者34名を対象とした実験を行った。2人組の対話に現れる指示詞の傾向にっいて調査するため、1人がモデル写真を見ながら指示を出し、もう1人がレゴブロックを組み立てるという課題を実施した。その結果、指示対象が話し手に近いか聞き手に近いかは、指示カテゴリ(コ系あるいはソ系)の分布に影響を与えたが、話し手と聞き手の座り方(横並びか対面か)とは連関が見られなかった。しかし、この結果は椅子や机の配置などに起因する可能性がある。改善点をまとめ、9月に『東京言語学論集34号』に中間報告(共著)を投稿した。 実験と並行して、ベトナム語及びその他の言語における指示詞や文末詞・感動詞についての先行研究リストを増補改訂しつつ、戯曲をデータとして用いたベトナム語指示詞と同形の文末詞・感動詞の記述を進め、その成果を発表した。9月にニューデリーで行われた国際語用論学会では、指示詞と同形の感動詞nay, kia, ay, aayの用法についてポスター発表を行った。指示詞と感動詞は聞き手の注意を喚起するという共通点があるが、指示詞は聞き手の注意を指示対象に向け、感動詞は命題に対する話し手の期待や思惑に向けるという違いがある。また、同様の現象は日本語や韓国語においても観察され、指示詞と感動詞が同形であることは偶然の一致とは考え難いことを主張した。11月には、香港言語学会において、指示詞と同形の文末詞aay, nay, aay, ay, kiaの用法について口頭発表した。これらは、情報の多寡・妥当性・対比・焦点など、話し手の事態の認識の仕方に基づいて使い分けられていることを示した。 本年度はベトナム本国におけるベトナム語の調査に多くの時間を割いたが、在日ベトナム系住民の集住する地域の日本語教室やプレスクールにおいての参与観察も継続して行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ベトナム語指示詞及びそれと同形の文末詞・感動詞に関する問題について、記述言語学的・類型論的アプローチだけでなく、実験的手法や参与観察などを用いて多角的に取り組み、それらの成果を国際学会において発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは主に戯曲という書かれたデータを用いて研究を行ってきたが、今後は、ベトナム本国及び在日ベトナム系コミュニティの言語について、自然談話データを用いたコーパスを作成し、指示詞・文末詞・感動詞が実際の会話の中でどのように用いられているのかについて語用論的な分析を行いたい。その上で、ベトナム語の指示詞は聞き手の位置をほとんど考慮する必要がないのに対し、文末詞・感動詞の使用には聞き手の知識の状態を考慮しなければならないという、使い分けの基準における「聞き手の関与度」の問題に関して、対話相手としての聞き手、物理的な位置の目印としての聞き手、話し手と同じく認知する主体としての聞き手についての統一的な説明を試みる。
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Research Products
(3 results)