2013 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄異形成症候群におけるポリコーム群タンパク質の役割の検討
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13J09414
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川畑 公人 東京大学, 医科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 造血機腫 / EZH2 / エピジェネティクス / マイクロアレイ |
Research Abstract |
血液悪性腫瘍の中でも骨髄性腫瘍と呼ばれる一群で、中でも高齢者に多発する難治性腫瘍である骨髄異形成症候群の発症においてポリコーム群タンパクの酵素活性を持つユニットであるEZH2の役割を解明するため本研究を行った。悪性リンパ腫固形がんなどの他の腫瘍では発現上昇や活性型変異が腫瘍化に関係するのに対して骨髄性腫瘍においては機能欠失型変異が認められる。BMTモデル、レトロウィルスベクターを用いた遺伝子導入など血液学の基本的な技術知識の習得しそれを応用して上記の課題に取り組んでいる。EZH2の機能が重要である生物学的過程を見つけ、EZH2の野生型と変異型それぞれの導入で如何なる差違が血液細胞に生じるかを検討した。結果EZH2は造血細胞の分化に影響を及ぼすことが確認された。またEZH2C末端欠失型の変異導入細胞を骨髄移植されたマウスは実に10か月以上の潜伏期を経て骨髄異形成症候群や急性骨髄性白血病などを観察した。この結果より得られたサンプルをフローサイトメトリで遺伝子導入された細胞のみを細胞分離したところ、形態的異常細胞は遺伝子の導入された細胞であることが分かった。それら発症マウスの造血細胞のRNAから遺伝子発現マイクロアレイを用いた網羅的な解析を行った。EZH2が発現調節に関わる遺伝子、造血器腫瘍の病態に重要なシグナル伝達経路の同定を試みた。得られた結果は期待した以上に、これまで如何なる先行論文でも指摘されていない新規の標的遺伝子を複数示唆していると考えている。 報告者らはこの様な欠失型EZH2変異がよりヒトの疾患に近い病態を反映する可能性を考えている。臨床サンプルの提供を受けるなど共同研究を行う事も考慮している。 EZH2の重要な新規標的遺伝子について、強制発現や発現抑制を行い機能解析をして造血器腫瘍の発症モデルを説明しうるか詳細に検討開始した。EZH2が実際にそれらの遺伝子の上流域で発現調節のための修飾をしているかをChIP-PCRを行い、一貫した結果を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
造血器腫瘍の新規モデルマウスの作成に成功しておりその解析を行い、そこから得られる新規の標的遺伝子の候補を絞り込めているなど、おおむね予定した段階を達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在候補に挙げているEZH2変異株の関係する標的遺伝子を解析してそれらの造血器腫瘍における役割の検討をする。最新のイメージング技術などを利用して現在得られている造血器腫瘍モデルを更に詳細に解析する。
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Research Products
(4 results)