2013 Fiscal Year Annual Research Report
スポーツ選手における末梢性疲労の回復に有効な栄養教育法の検討
Project/Area Number |
13J09447
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
砂見 綾香 東京農業大学, 大学院農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | スポーツ選手 / 疲労 / 免疫 / 上気道疾患 / 食事 / 栄養 / 野菜・果物 / 抗酸化物質 |
Research Abstract |
高強度運動は炎症・酸化ストレスの増加、ひいては免疫能の低下を招くことから、スポーツ現場では選手の易感染性が問題視されている。これに対し、抗酸化物質の高用量摂取による予防の可能性が示されてきた。しかし、日々の食生活という観点から予防策を検討した研究は少なく、実験的介入研究では結果に一貫性がみられていない。そこで本研究は抗酸化物質を多く含む野菜・果物類の摂取量に着目し、大学生アスリートを対象に疫学的手法と実験的手法を駆使してスポーツ現場で実施可能な食生活改善法を確立・提案する事を目的とする。 初年度は大学生アスリートの習慣的な栄養素等摂取量および食品群別摂取量を推定するための食物摂取頻度調査票を開発した。また、大学生アスリートの上気道疾患および食事に関する実態調査を行った。 大学生アスリートおよび一般大学生・大学院生に自記式質問紙調査を行ったところ、大学生アスリート(728名)は一般大学生(490名)より寮や一人暮らしの者が有意に多く、起床・就寝時刻が不規則であり、魚介類、緑黄色野菜、その他の野菜、イモ類の摂取頻度が有意に少なかった。しかし、上気道疾患の発症頻度は大学生アスリートの方が一般大学生より有意に少なく、予想とは反した結果が得られた。ただし、大学生アスリートを試合時間に基づき10分未満を瞬発・瞬発持久系(n=394)、10分以上を持久系(n=275)に分けると、瞬発・瞬発持久系は持久系より運動時間が有意に長い一方、睡眠時間は有意に短く、肉、卵、牛乳・乳製品、大豆・大豆製品の摂取頻度が有意に少なく、上気道疾患の発症頻度は多かった。また、緑黄色野菜、その他の野菜、果物の摂取頻度は2群間に有意差はなかったものの、食物摂取頻度調査票を用いて一部の大学生アスリートを対象に野菜・果物摂取量を推定したところ、野菜総量の平均値は163gと少なく、健康日本21で推奨される350gと大きな乖離があることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大学生アスリートの習慣的な栄養素等摂取量および食品群別摂取量を推定するための食物摂取頻度調査票を開発した。また、大学生アスリートの上気道疾患と食事に関する実態を把握することができたことから、初年度の目的は達成できたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の調査だけでは野菜・果物摂取量と易感染性との関連を直接的に明らかにすることができなかった。そのため、平成26年度は食事介入による実験を予定していたが、断面的な研究を新たに追加することとした。具体的には、運動負荷後の炎症・酸化ストレス反応の増加程度と習慣的な野菜摂取量の多少に関連があるか検討するため、一般学生50名程度を対象に一過性自転車運動を行う予定である。
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Research Products
(3 results)