2014 Fiscal Year Annual Research Report
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13J09478
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松浦 綾子 東京大学, 法学政治学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 制度形成 / 国際組織 / 政策形成過程 / 世界保健機関 / グローバル・イシュー / トランスナショナル・イシュー |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題に関する分析を行うため、引き続きグローバルヘルス・ガバナンス、特に国際的な感染症対策を中心に検討を行った。本年度はイエール大学において在外研究を行い、幅広く歴史的な資料を収集しインタビュー調査を継続するとともに、国際学会等を出発点に多くの実務担当者からヒアリングの機会を得た。結果、(1)実効的な国際保健体制の構築において、他レジームとの相互連関の重要性が増大していること(2)歴史的な構造変容の中でその傾向が強化されていること、の2点が明らかになった。この点、国際保健分野については多様な研究の蓄積があるものの、それらの射程は明示的に他レジームとの交錯がもたらす影響に関する議論には及んでいなかった。一方、2014年エボラ出血熱のアウトブレイクでより明らかになった通り、国際保健分野におけるガバナンスにおいて安全保障、金融、外交、人道等多様なセクターとの関係の重要性が増している。本年度はいくつかのケースを題材にこれらセクター間の交錯関係を分析するとともに、その傾向が1990年代のInternational HealthからGlobal Healthへのガバナンスの構造的転換を通じて強化されていく過程について記述した。特に冷戦下における健康保健分野と他分野との連携においては、社会医学的なアプローチが「政治化している」とみなされるなど複雑な認識上の問題も背後にあったことなども踏まえ、19世紀から現代にいたるまでの国際保健協力体制の転換の要因に関する考察も行うことができた。なお、レジーム・コンプレックスの先行研究群の主関心は同じ課題を取り扱うinstitutionの重複に関する分析を行うことであるが、ここでは様々な分野間の重複が及ぼす影響について検討することで、既存のレジーム・コンプレックスに関する議論についても一定の整理と理論的な考察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度の成果を踏まえ、より具体的な事例に基づき仮説の設定とその検討を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
国際保健分野で観察された事象や枠組みがどの程度他領域に応用可能か、応用できない場合その差異をもたらす要因は何かについて検討し、グローバル・ガバナンスに関するより一般的な示唆を得ることを目標とする。
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Research Products
(1 results)