2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J09500
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
齊藤 亮 名古屋大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ガリレオン場 / 古典的ハミルトニアン / 量子論的ハミルトニアン / 宇宙論的摂動論 |
Research Abstract |
私はまず、ガリレオン場の古典的なハミルトニアンについて下限値をもつようなパラメーター領域を求めることを試みた。ガリレオン場の理論の中に含まれるk-essence模型についてそれを求めたところ、模型の中に非正準な運動項が含まれるため、共役運動量が定義できない場合があり、ハミルトニアン形式の理論が作れないことがわかった。これはその他のクラスのガリレオン場の理論についても言えることであり、ガリレオン場の理論において古典的なハミルトニアンを構成することは一般的にはできないということがわかった。 一方で、私は古典的なハミルトニアンからの摂動をとって量子論的なハミルトニアンを作り、それについても下限値を与えるようなパラメーター領域を求めるということを研究内容に挙げた。しかし、上記のように古典的なハミルトニアンは構成できなかった。そこで、宇宙論的摂動論を使って、古典的なラグランジアンからの摂動をとり、その摂動のハミルトニアンを求めることを試みた。宇宙論は重力を取り扱う理論であるので、ラグランジアンの中の正準な項以外はすべて高次の摂動であると考えられ、場がどのような値をとっても高次の摂動の和は正準な項の値を超えないと考えられている。この場合には摂動的に共役運動量を定義することが可能であり、結果として、摂動の次数毎にハミルトニアンを摂動の2次まで、3次まで、・・・と定義することが可能である。そして、このような方法で作られたガリレオン場のハミルトニアンは、すでに他の論文で導出されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記のように、当初の予定であった非摂動的な方法によるガリレオン場のハミルトニアンを求めることは一般的には不可能であることがわかった。摂動的な方法によるハミルトニアシの構築はすでにやられており、その結果は少なくとも準古典的には安定であるため、私の研究目的は他者によってだいたい達成されている。
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Strategy for Future Research Activity |
ガリレオン場の理論について、摂動的に求めたハミルトニアンはすでに導出されている。しかし、量子論を摂動的に取り扱うと、古典的には存在しないループ積分が理論に出現し、この積分は一般的には発散する。通常、量子論ではこの発散はパラメーターの繰り込みによって取り除くが、宇宙論の場合は重力理論であるため繰り込みが不可能である。よって、通常は発散が出ないように、積分領域に上限(カットオフ)を設ける。理論にカットオフがあると、それはパラメーターの値に対して制限を与えるので、ハミルトニアンの下限値ではなく、ループ積分についてのカットオフからパラメーターについて制限が得られるかもしれないので、それを調べる。
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Research Products
(1 results)