2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J09503
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
森 泰蔵 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 特別研究員(PD)
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Keywords | 気水界面 / Langmuir-Blodgett膜 / 両親媒性 / 軸性キラル / ビナフチル / ヘリシティ制御 |
Research Abstract |
分子のキラリティやヘリシティを動的に変化させることで、生体分子や酵素を模倣した分子認識や分子モーターが実現できる。軸性キラルを有するビナフチルは二面角を変化させることで容易にそのヘリシティを制御できる。そこで、動的界面におけるビナフチルのヘリシティ制御を目指した。 両親媒性ビナフチル誘導体を合成し、それを気水界面に散布しLangrnuir-Blodgett膜を作製した。この膜を種々の表面圧下で石英基板上に転写し、円偏光二色性スペクトルを測定した。その結果、表面圧が高いほどビナフチル誘導体の円偏光二色性の強度が増加した。つまり、表面圧が高いほど、ビナフチルの二面角が小さくなったことが示された。次に、表面圧-分子専有面積曲線より、種々の表面圧下でビナフチル分子に与えられたエネルギーを計算した。分子に与えたエネルギーと円偏光二色性の強度は線形関係にあった。ビナフチルに与えるエネルギーが大きいほど、二面角が大きく変化する事が示唆された。 DFT計算を用いて、ビナフチルの二面角と円偏光二色性の関係、および二面角を変化させるために必要なエネルギーを求めた。その結果、60度を極大としてビナフチルの二面角が小さくなるほど円偏光二色性の強度が増大することが分かった。また、表面圧-分子専有面積曲線より求めたエネルギーの範囲内で二面角が変化することが示された。 以上から、両親媒性ビナフチル誘導体の二面角を気水界面上で制御できることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた非対称性両親媒性ビナフチル誘導体と配位高分子ビナフチルの合成が予定通りに進んでいない。 その一方で、気水界面における両親媒性ビナフチル誘導体の二面角変化過程のメカニズムを明らかにすることができた。これは今後、界面でビナフチルの二面角を制御する上で重要な進展である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、気水界面以外の界面でのビナフチルの二面角、ヘリシティ制御も試みていく予定である。既に、表面にビナフチルを修飾した金ナノ粒子を合成している。気水界面での二面角制御で得られた知見を用いて、金ナノ粒子表面でのビナフチルの二面角制御を行う予定である。
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Research Products
(7 results)