2015 Fiscal Year Annual Research Report
線虫の環境記憶と行動の可塑性を制御する分子神経基盤の解明
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13J09506
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 博文 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 線虫 / 学習 / カルシウムイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、線虫の塩濃度記憶に基づく行動調節機構を分子・神経レベルで明らかにしようとするものである。これまでの研究により、塩を受容する感覚神経とその直下の複数の介在神経(AIA、AIB、AIY)について経験依存的な神経応答の観察を行った。そこで本年度はまず、さらに下流の介在神経について、塩濃度変化に対する神経応答の観察を行った。その結果、AIZ介在神経において、経験塩濃度依存的な神経応答を見出した。その応答パターンはこれまでに観察されたAIB介在神経の応答と一致し、AIY介在神経の応答とは逆方向であった。そのためAIY神経から抑制性のシナプス入力を受け、AIB神経には興奮性シナプス出力をしていると考えられる。 続いて経験塩濃度に依存した各神経の応答と、線虫の行動とを直接的に観察する実験を行った。この実験では2cm四方のPDMS製微小流路を用い、内部を自由に動く線虫を追跡して各時刻での速度を求めると同時に、蛍光画像を撮影することでその時点での神経の細胞内カルシウム濃度の変化(相対量)を求めた。その結果、塩濃度変化刺激に対し、線虫の行動は刺激よりも高い塩濃度で飼われたか低い塩濃度で飼われたかによって逆転した。これに対し、塩を受容する感覚神経ASERの応答は経験塩濃度依存的に逆転せず、感覚入力に相関した応答を示した。一方でAIB介在神経とその下流のRIM介在/運動神経では経験塩濃度依存的にその応答が逆転し、行動と相関する応答を示した。そのため、ASER-AIB-RIMという神経回路を通じて線虫の経験塩濃度依存的な行動が制御されていることが示唆され、また感覚神経-介在神経間において感覚入力の情報が行動出力の情報へと変換されていることが考えられる。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)