2014 Fiscal Year Annual Research Report
同位体パルスラベリング法を駆使した樹木根圏炭素動態とその制御機構の解明
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13J09602
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
牧田 直樹 独立行政法人森林総合研究所, 関西支所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 樹木根 / 炭素動態 / 森林生態系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究申請課題である『同位体パルスラベリング法を駆使した樹木根圏炭素動態とその制御機構の解明』では、地上部から地下部への炭素の循環速度・滞留時間・配分比を明瞭にすることを目的とする。 本年度は、フィンランド共和国ヘルシンキ大学に留学し、同位体手法に詳しいヘルシンキ大学の共同研究者とともに、土壌表面および各土壌深度から放出される13CO2の連続測定観測の体制を整えた。同時に電源系統の整備、多チャンネル切り替え装置・自動開閉式チャンバー、温度・含水率計を最新の技術・方法といった研究手法のノウハウをご教授いただいた。土壌からのCO2は、植物根起源と微生物起源の2種類の総和として構成されている。これら2種類のCO2放出は、13CO2放出濃度が大きく異なっており、濃度を測定することにより、植物根起源と微生物起源の寄与をそれぞれ算出することが可能である。土壌から放出されるCO2同位体比は、レーザー同位体分光計測装置システムを用いて連続測定を行った。本研究の結果では、13CO2放出濃度の明確な季節変化を観測することができ、13CO2放出濃度は、各深度ともに土壌温度で大きく説明することが明らかとなった。また、植物根起源の寄与は夏場に高く、微生物起源の寄与は、冬場に高いことも明らかとした。 以上より、土壌から放出されるCO2は、植物根・微生物混合の炭素で構成されており、その放出パターンは季節変化することが示された。根の炭素源代謝・分配は、植物の要求量・環境要因によって制御されている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特別研究員:牧田の本年度の研究は、フィンランド・ヘルシンキ大学に留学を行い、亜寒帯森林生態系における正確な測定が困難であった根圏における炭素の流れを評価することであった。土壌中に存在する樹木根を採取し、生理生態特性を定量評価しようとする課題は、根圏における炭素消費量を算出することを可能とし、北方林生態系の炭素循環の解明に重要な示唆を与えるものであると考えられる。また上記の研究のほかに、根系の分解呼吸速度および土壌メタン放出に関する研究にも従事しており、その成果は、3本の国際誌にまとめられた。国際樹木根学会・国際生物物質循環学会で発表している。これらの本年度の研究成果から、期待通りの研究ができていたと評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策は、葉で吸収された同化産物が土壌および、根や菌根菌への到達時間(循環速度・滞留時間)を連続フラックス観測によって定性評価したいと考えている。
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Research Products
(6 results)