2013 Fiscal Year Annual Research Report
in situ アトムプローブ法を用いたナノ合金触媒の反応機構の解明
Project/Area Number |
13J09622
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森田 真人 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アトムプローブ / 触媒 / in situ / 微小構造解析 |
Research Abstract |
本年度の主な成果としては、「金属触媒の熱による劣化の3DAP解析」及び、「質量分析による3DAP装置内での触媒反応の確認」の二点が挙げられる。 1. 金属触媒の熱による劣化の3DAP解析 自動車排ガス触媒として用いられるPt-Pd金属触媒の三次元アトムプローブ(3DAP)分析を行った。排ガス触媒は非常に高温にさらされることがあり、その際、熱によって構造が変化し触媒機能を失ってしまう。そのためPt-Pd触媒を様々な条件で加熱し、3DAPによる三次元構造解析を行った。その結果、大気中で600℃程の高温で加熱すると、表面にPd-richの酸化膜が形成され、Ptは試料内部へ凝集することがわかった。本研究成果はより高性能の新規触媒の合成研究に非常に有用な知見を与える。さらに、3DAP分析手法が触媒分野に非常に有効なツールであることを示した。 2. 質量分析による3DAP装置内での触媒反応の確認 Pt-Pd触媒とWの2試料を用意し、これらの試料表面にフェナントレンガスをEB-CVDによって堆積させたC_xH_y膜を作成した。これらの試料のC_xH_y膜/金属の界面付近を中心に3DAPによって分析した。その結果、W試料ではC_xH_y由来の質量スペクトルはC_xH_y膜表面から金属との界面付近まで一貫して大きな変化はなかったが、Pt-Pd試料では界面でC_xH_y由来の質量スペクトルに大きな変化があった。これはPt-Pdの触媒能力が機能し、触媒表面に直結しているC_xH_yに限り、化学状態を変化させたためであると考えられる。この成果はin situアトムプローブ法が触媒表面で起こる反応を観察することができる有効な手法であるということを証明している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
触媒の解析は2年目を予定していたが、既に3DAPによって熱による劣化の機構解明に関する知見を得ることができた。in situ アトムプローブ法におけるガス流量やノズルなどの最適化はまだ完成していないが、各種シミュレーションと併せ多くの実験データを集めている。さらに本研究課題の根本的な問題であった、3DAP装置内での触媒反応の実現は、1年目の研究成果から十分に可能であることが示唆された。以上をもって、研究の進行度は非常に良好であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は各種シミュレーションを駆使し、in situ アトムプローブ法の条件の最適化を行う。さらに、AFMをはじめとする触媒分野に有効な分析手法と組み合わせ、データの評価、精度向上を行っていく。
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Research Products
(4 results)