2016 Fiscal Year Annual Research Report
新奇体性幹細胞標識抗体A3の生物学的特性と毛の発生・病態における機能的役割の解明
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13J09632
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
加藤 智彩 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 毛包上皮幹細胞 / 間葉系幹細胞 / 創傷治癒 / 糖鎖 / 悪性線維性組織球種 |
Outline of Annual Research Achievements |
A3はラット悪性線維性組織球種(MFH)の株化細胞を抗原として作製された抗体であり、ラットの体性幹細胞を認識することが明らかとされている。本研究ではラットの毛包形成および皮膚創傷治癒におけるA3標識細胞の機能と役割を解明することを目的とし、組織学的および分子生物学的解析を行った。 A3標識細胞は、毛包の発生期および毛周期において、毛包上皮幹細胞が存在するとされるバルジ付近と、間葉系幹細胞を含む毛包結合織鞘に発現し、皮膚創傷治癒では、これらに加えて被蓋化上皮で発現が観察され、発現範囲および発現数が増大した。さらに、A3標識細胞の特性を調べるため、全身におけるA3標識細胞の分布を観察したところ、体性幹細胞の存在するとされる部位に一致した。これらのことから、A3は、毛包形成および皮膚創傷治癒に関与する未分化上皮および未分化間葉細胞のいずれも標識し、既存の幹細胞抗体とは異なる細胞を標識する、新たな抗体であることが示された。また、A3のエピトープ解析を目的として分子生物学的解析を行った。A3の抗原(A3抗原)を高発現する株化細胞であるMT-9細胞をサンプルとして用い、Native PAGEおよびWestern Blotting法によって抗原を分離したところ、高分子領域に幅広く拡散した単一のバンドが得られ、糖を染色するPAS染色に陽性を示した。また、N型糖鎖消化試験、糖鎖解析、MT-9細胞に対する糖鎖合成阻害試験、抗ケラタン硫酸抗体による免疫沈降およびWestern Blotting法により、A3抗原はヒト人工多能性幹細胞に発現する、硫酸化度の低いケラタン硫酸と類似する可能性が示唆された。糖鎖は細胞の情報伝達に関与し、個体発生において重要な役割を担っているとされる。本研究により、低硫酸化ケラタン硫酸を発現する細胞がラットの毛包形成および皮膚創傷治癒に関与する可能性が示唆された。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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