2013 Fiscal Year Annual Research Report
ウェブクランプ形式柱梁接合部の応力伝達機構及び損傷予測に関する研究
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13J09712
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荒木 景太 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ウェブクランプ形式柱梁接合部 / 接合金物 / シアプレート / 応力伝達 |
Research Abstract |
ウェブクランプ形式柱梁接合部は、建築現場においては高力ボルトの締め付けのみで施工が完了する、高施工性を実現した鉄骨柱梁接合部である。我が国で規定されている許容応力度設計法ならびに終局耐力設計法に本接合部を適用する為には、まず本接合部最小断面(仕口部)の応力を適切に評価することが先決である。しかしながら、本接合形式仕口部の応力評価は現在困難な状況にある。これは、本接合部は従来とは異なり、柱と梁を特殊な接合金物とシアプレートで接合する複雑な構成であることが原因である。そこで、本年度ではウェブクランプ形式柱梁接合部の応力評価を目的として、有限要素解析による仕口部の応力伝達の検討、及び仕口部の応力伝達の把握を目的としたハーフスケールT字形試験体載荷実験を行った。なお、当初交付申請書には研究実施計画として本接合部パネル部の応力伝達に関する検討を行う予定であったが、本検討事項は昨年度で検討が一旦完了した。 まず、有限要素解析による仕口部の応力伝達に関する検討により、仕口部の応力は1)接合部パネルの変形、2)ボルト接触領域のすべり、および3)梁長さの3つが影響していることがわかった。また、一連の検討により、当初本接合部で重要と考えられていたシアプレートを省略できる可能性がある事がわかった。シアプレートを省略できれば、製作コストの節約になるだけでなく、施工時間も大幅に短縮でき、本接合部の優位性が向上する。 次に、ハーフスケールT字形ウェブクランプ形式柱梁試験体を製作し、仕口部の応力伝達を実験的に検討した。その結果、実験結果は解析結果と概ね一致する結果となり、仕口部の応力伝達挙動が解析で再現可能である事が示された。さらに、シアプレートを省略しても、構造上問題ないことが実験的に明らかとなり、シアプレート省略形式の実現を大きく支持する実験結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本接合形式仕口部の応力伝達挙動を有限要素解析と実験の両面から検討を行い、応力伝達挙動の影響因子を発見した。これらは、本接合形式仕口部の応力評価の確立の大きな手掛かりとなると考えられる。また、シアプレート省略形式の実現可能性についても明らかにし. これにより本接合部の施工性が格段に改善された。以上の理由から、学術的にも実務的にも大きな進展が見られたものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に行った一連の検討により、本接合形式仕口部の応力伝達挙動が明らかとなった。ただし、一連の検討は梁が十分剛強な場合を対象にした場合であるため、今後は梁が弱い場合における仕口部の応力伝達挙動を検討する必要がある。その後、仕口部の応力評価式を提案し、本接合部設計法を設計させるとともに、シアプレート省略形式における設計法についてもあわせて提案する予定である。
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Research Products
(4 results)