2013 Fiscal Year Annual Research Report
高分子電解質膜ナノ・メゾ構造内におけるプロトン輸送メカニズムの量子・分子論的解析
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13J09722
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
馬渕 拓哉 東北大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 固体高分子形燃料電池 / 分子動力学法 |
Research Abstract |
今年度は, ホッピング現象を考慮したプロトン輸送シミュレータの構築および電解質膜内のクラスター解析を中心に研究し, その成果は学術雑誌および国内・国際学会で発表した. 1.6月に開催された国際会議11^<th> International Conference on Nanochannels, Microchannels, and Minichannelsでは, 固体高分子形燃料電池に用いられているナフィオン電解質膜内におけるプロトン輸送に関する分子論的解析の結果を報告した. 本結果より含水率増加に伴い, 親水性ドメインの周期構造が大きく変化しプロトン輸送に大きく影響を与えていることが示唆された. この成果は, 国内学術誌の日本機械学会論文集に発表した. 2.10月に行われたThe 4th International Symposium on Micro and Nano Technologyでは, 分子動力学法を用いてホッピング現象を考慮したプロトン輸送を模擬するEmpirical valence bond (EVB)法の改良とその妥当性に関する解析結果の報告を行った. 本結果の手法を用いることで, プロトンホッピングの際の水分子間のポテンシャルエネルギー表面(PES)が第一原理計算の結果とよく一致し, 既存の手法よりも正確に現象を再現できるようになった. その結果, ホッピングにより拡散係数が大きく増加し, 実験値ともよく一致した. これにより、電解質膜内においてもプロトン輸送におけるホッピング現象の重要性が示唆された. 同月に開催された224^<th> Electrochemical Society Meetingでは, 電解質膜内におけるプロトン輸送について水分子との結合・解離を繰り返しながら輸送される現象(ホッピング現象)を分子動力学計算に導入した結果を報告した. 本結果より含水率増加に伴いホッピングが伝導度に与える影響が大きくなることが示唆された. この成果は, 国際学術誌のECS Transactionsに発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り, 解析に必要なシミュレータを構築しただけでなく, それを用いてより詳細な解析を行い, 学術雑誌および学会での発表を行ったため.
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの達成度は, 当初の計画通りに進展しているので, 今後もこれまでと同様の計画内容で研究を進めていく予定である.
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