2014 Fiscal Year Annual Research Report
高分子電解質膜ナノ・メゾ構造内におけるプロトン輸送メカニズムの量子・分子論的解析
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13J09722
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
馬渕 拓哉 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 固体高分子形燃料電池 / 分子動力学法 / 高分子電解質膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,前年度構築したホッピング現象を考慮したプロトン輸送シミュレータを用いて電解質膜内のホッピング現象のプロトン拡散への影響解析を中心に研究し,その成果は学術雑誌および国内・国際学会で発表した. 4月に開催された国際会議The 5th International Conference on Heat Transfer and Fluid Flow in Microscaleでは,前年度に構築したシミュレータを用いて高分子電解質膜内におけるプロトン輸送に関する分子論的解析の結果を報告した.新たなシミュレータを用いることで,構造・輸送の双方で実験値と良い一致を示す解析が可能となった.また,本結果より含水率増加に伴いホッピングの寄与が大きくなることで拡散係数が大きくなることが示唆された.この成果は,国際学術誌のJournal of Nanoscience and Nanotechnologyに発表した.9月に開催された4th Micro and Nano Flows Conferenceでは,電解質膜内における水クラスター構造の含水率依存性に関する解析とプロトン輸送現象の相関についての解析結果を報告した.本結果より,クラスター構造が連結する含水率において,急激にプロトン輸送が促進されることが明らかとなった.これにより,膜構造を工夫することで低含水率でもクラスター構造をうまく連結させた高プロトン伝導を有する電解質を提案できることが示唆された.この成果は,国際学術誌のJournal of Chemical Physicsに発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
前年度構築したホッピング現象を考慮したプロトン輸送シミュレータを用いて,電解質膜内のホッピング現象のプロトン拡散への影響に関してより詳細に解析を行い,その成果を学術雑誌および国内・国際学会に当初計画以上に多く発表を行うことができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの達成度は,当初計画以上に進展しているので,今後もこれまでと同様の計画内容に基いて,プロトン輸送と水クラスター構造の相関を明確にし,電解質膜内プロトン輸送メカニズムを解明していく予定である.
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