2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J09743
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 智哉 東京工業大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 電気双極子モーメント / EDM / CPの破れ / スピンメーザー / 光ポンピング / 磁力計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、129Xe原子の永久電気双極子能率(EDM)の測定を通し、宇宙の物質・反物質非対称性の起源を解明することを目的とする。本研究では、EDM測定精度を制限しているメーザー運転環境の長期変動の影響を低減するため、測定対象である129Xeと3Heを同じセルに封入し、同時にメーザー発振を行って参照系とする「3He共存磁力計」、メーザー核種と偏極Rb間の接触による周波数シフトを打ち消すためにセルを偏極生成部と測定部に分割する「ダブルセル構造」を採用している。 本年度は、電極付きダブルセル型EDMセルを用いて129Xe/3Heの同時メーザー発振を行い、メーザー周波数長期変動の要因とその定量的評価を行った。まず、メーザー周波数に影響を与えるセル温度、レーザー強度等の運転パラメータの長期安定度を評価した。安定化したセル温度及びレーザー強度について1万秒間の積算により二乗平均平方根(RMS)誤差としてそれぞれ0.0065±0.0013 ℃、1.7×10^-2 %の安定度を得た。レーザー周波数、静磁場電流についても同様に評価した。 次に、運転パラメータを能動的に変化させ、メーザー周波数のパラメータへの依存性を評価した。ここで、偏極Rbシフトの更なる低減を狙い、セル測定部に導入しているRb偏極度操作レーザー光の円偏光の向きをポッケルスセルによって高速(~100Hz)に切り替える機構を新たに採用した。これにより、メーザー周波数の測定部温度への依存性を完全に打ち消すことに成功した。 これらの開発・測定により、運転パラメータの長期変動に起因するメーザー周波数RMS誤差の二乗和平方根は1万秒の積算でμHzオーダーとなることが明らかとなり、現実的な10 kV/cmの電場印加を仮定すれば、複数回測定により現状の129Xe原子EDM世界最高精度に到達可能であることを示した。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Performance assessment of a new laser system for efficient spin exchange optical pumping in a spin maser measurement of 129Xe EDM2015
Author(s)
C. Funayama , T. Furukawa, T. Sato, Y. Ichikawa, Y. Ohtomo, Y. Sakamoto, S. Kojima, T. Suzuki, C. Hirao, M. Chikamori, E. Hikota, M. Tsuchiya, A. Yoshimi, C. P. Bidinosti, T. Ino, H. Ueno, Y. Matsuo, T. Fukuyama, K. Asahi
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Journal Title
Hyperfine Interactions
Volume: 236
Pages: 59-64
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] 異核種共存セルにおけるスピン偏極生成・緩和機構2016
Author(s)
舟山智歌子, 佐藤智哉, 市川雄一, 小島修一郎, 田中俊也, 坂本雄, 大友祐一, 平尾千佳, 古川武, 吉見彰洋, C.P. Bidinosti, 猪野隆, 上野秀樹, 松尾由賀利, 福山武志, 旭耕一郎
Organizer
日本物理学会第71回年次大会
Place of Presentation
東北学院大学(仙台)
Year and Date
2016-03-19 – 2016-03-22
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[Presentation] 129Xe/131Xe共存核スピンメーザーの周波数特性2016
Author(s)
小島修一郎, 佐藤智哉, 市川雄一, 田中俊也, 舟山智歌子, 坂本雄, 大友祐一, 平尾千佳, 古川武, 吉見彰洋, C.P. Bidinosti, 猪野隆, 上野秀樹, 松尾由賀利, 福山武志, 旭耕一郎
Organizer
日本物理学会第71回年次大会
Place of Presentation
東北学院大学(仙台)
Year and Date
2016-03-19 – 2016-03-22
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[Presentation] 異核種共存核スピンメーザーを用いたEDM測定実験2016
Author(s)
佐藤智哉, 市川雄一, 小島修一郎, 舟山智歌子, 田中俊也, 坂本雄, 大友祐一, 平尾千佳, 近森正敏, 彦田絵里, 古川武, 吉見彰洋, C.P. Bidinosti, 猪野隆, 上野秀樹, 松尾由賀利, 福山武志, 旭耕一郎
Organizer
日本物理学会第71回年次大会
Place of Presentation
東北学院大学(仙台)
Year and Date
2016-03-19 – 2016-03-22
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[Presentation] Isotope-differential measurement of Xe atomic EDM with a double-species spin maser2015
Author(s)
K. Asahi, T. Sato, Y. Ichikawa, S. Kojima, C. Funayama, S. Tanaka, Y. Sakamoto, Y. Ohtomo, C. Hirao, M. Chikamori, E. Hikota, T. Furukawa, A. Yoshimi, C.P. Bidinosti, T. Ino, H. Ueno, Y. Matsuo, T. Fukuyama
Organizer
8th International Workshop on Fundamental Physics Using Atoms (FPUA2015) -Towards better understanding of our matter universe-
Place of Presentation
RIKEN(Saitama, Japan)
Year and Date
2015-11-30 – 2015-12-01
Int'l Joint Research / Invited
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[Presentation] 129Xe/3He二核種スピンメーザーを用いた周波数精密測定における周波数不定性2015
Author(s)
佐藤智哉, 市川雄一, 小島修一郎, 舟山智歌子, 坂本雄, 大友祐一, 平尾千佳, 近森正敏, 彦田絵里, 古川武, 吉見彰洋, C. P. Bidinosti, 猪野隆, 上野秀樹, 松尾由賀利, 福山武志, 旭耕一郎
Organizer
日本物理学会2015年秋季大会
Place of Presentation
大阪市立大学(大阪)
Year and Date
2015-09-25 – 2015-09-28