2014 Fiscal Year Annual Research Report
花の匂いの地理的変異がもたらす植物と送粉昆虫の種分化機構の解明
Project/Area Number |
13J09765
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
岡本 朋子 独立行政法人森林総合研究所, 森林昆虫研究領域, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 送粉 / 種分化 / 情報化学物質 / 寄主認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物と送粉者の間に見られる共生関係の成立と維持の理解には、両者の関係を結ぶ要因の中でも、「送粉者が植物を選択し訪れる際にどのような情報を利用しているのか」を明らかにすることが重要である。本研究は、夜間に活動する送粉者が嗅覚情報として利用する花の匂いに注目し、植物と送粉者の種分化機構の解明を目指して行う。 カンコノキは花の匂いを用いてハナホソガを呼び寄せ、花粉を運ばせる。一方のハナホソガは、 花の匂いを用いて寄主を訪れるだけでなく、寄主を交尾場所としても利用するため、ハナホソガの寄主への来訪が植物のみならずハナホソガ自身の繁殖の鍵になっていると考えられる。このような系では、花の匂いの集団間の違いが、植物と送粉者の生殖隔離を引き起こし、 ひいては共種分化を導く可能性が高い。そこで本研究では、(1)花の匂いの地理的変異、および(2) それに伴う送粉者の花の匂いへの選好性の分化について詳細に調べ、共種分化過程の理解を目指す。 本年度(平成26年4月1日から平成27年度3月31日)は、ハナホソガが寄主を認識する際に、どのような化学物質を用いているのかを明らかにするため、GC-EAD法を用いて実験を行った。その結果、ハナホソガは花の匂いだけでなく、植物体から放出される匂い(葉や枝)も検知できること、検知能力は近縁種間で大きな違いが見られないことが明らかになった。今後、Y字管を用いた行動実験を行うことで、それぞれの化学物質に対してどのような応答を示すのかを明らかにし、植物の近縁種間の生殖隔離を支える化学物質の特定が容易になると期待できる。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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