2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J09800
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山内 大介 東京大学, 理学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 弦理論的宇宙論 / 宇宙弦 / 弦理論的ランドスケープ / 修正重力 |
Research Abstract |
弦理論的/場の理論的宇宙弦の基礎過程の理解を推し進めるため、大規模数値計算を行い、宇宙論的なスケールにおける宇宙弦ネットワークの振る舞いを探査した。これまで調べられてきた宇宙弦では、どのような理論パラメータにおいても同じアトラクター解に到達することが知られていたが、タイプ-I宇宙弦ではこれまでと異なるアトラクター解を持つことを指摘した。また理論パラメータへの依存性があり、ある特殊なパラメータにおいて宇宙弦数密度が最大値を持つことを見出した。 第二に、CMBおよび重カレンズに着目した宇宙弦の検定を行った。本研究では、宇宙弦はこれまで知られていなかったタイプの非ガウス的なCMB温度揺らぎを生成することを指摘した。さらに、現在行われているPlanck衛星観測およびACTPol地上観測において観測可能であるかどうかについて詳細な探査を行い、今後の観測の進展によって観測されうることを見出した。また、将来の精密観測に耐えうる重力レンズの高精度定式化を推し進め、統一的な定式化を可能にした。我々はこの成果を用い、実際の重力レンズ探査のデータを用いて宇宙弦を精密に探査し、理論パラメータに制限を与えることに成功した。 第三に、スーパーストリング理論が導く新しい宇宙像の探査のため、ストリングランドスケープおよび修正重力理論の研究も行った。特に、量子的遷移を含む系における場の理論の定式化の一環としてゲージ場の量子化を精密に探査し、U(1)ゲージ場には超曲率モードが現れないことを示した。一方で、重力レンズ探査に着目し、修正重力理論を観測的に探査する方法を見出した。さらに、これまで知られていた質量を持つ重力理論をより一般的に拡張することで観測的に整合的な模型を構築した。しかし、高エネルギーで不安定性を持つことがわかり、さらなる修正の必要性を初めて指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載した研究計画を全て実行できたわけではないが、議論によって想起した新たなアイデアに基づく研究が大きく推進した。これらの成果は研究の目的達成のための重要な成果であり、おおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までにおおむね研究計画は順調に推移しており、今後もそれを維持し、さらなる発展を目指す。前年度までに研究計画で達成されなかった課題については速やかに実行に移すよう努力する。
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Research Products
(15 results)