2014 Fiscal Year Annual Research Report
同時代の知覚論・科学論を背景にしたベルクソンの知覚論と実在概念に関する体系的研究
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13J09816
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木山 裕登 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ベルクソン / アルフレッド・フイエ / フランス哲学 |
Outline of Annual Research Achievements |
ベルクソンの思想を理解するために、彼に理論的な影響を与えたと思われる同時代の思想状況を形成していた文献を調査した。一年目の19から20世紀初頭にかけての心理学及び哲学の思想状況に関する研究成果を踏まえて、ベルクソンが当時の思想状況の中で対峙していた哲学的な問題を取り出し、それに対する彼の立ち位置の特徴を明らかにした。具体的には、当時の心理学において人々の注目を引いた「オートマティスム」ないし「自動症」の現象が、人間を機械に還元する唯物論的な立場、あるいは意識のようなものを認めるとしても偶有的な現象としてのみ認める立場を増長させたのに対して、どのように反応するか、という問題を取り出した。この問題に対するベルクソンの取り組みの力点を正確に炙り出すために、A. フイエという補助線を引いた。そして、ベルクソンが単に既存の議論を反復しているに過ぎないところと、彼が何かを付け加えているところとを区別することで、ベルクソン自身の主張の力点を明らかにした。フイエが自動機械には還元できないリアリティを、あくまで与えられた観念の運動の中で、非機械的な秩序に従う観念の運動はあるかを問うという方法で求め、欲求を原理とした観念の運動を提示したのに対して、ベルクソンの独自性が、カントが用いたことで有名な「権利」と「事実」の対概念を用いて事に当たっている点にあることが明らかになった。ベルクソンは非機械的なリアリティを示すものとして純粋記憶を提示したが、それは、権利に関わるものなのであって、事実上成立している意識状態、イマージュとなっているものから抽象したり、それと形式的な相違(判明性であれ強度であれ)しかないものとして扱かったりすることは、許されない。この点が、フイエや当時の心理学者たちにはない、ベルクソンの哲学的議論の特徴であると言える。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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[Presentation] Deleuze-Bergson against Kant2015
Author(s)
木山裕登
Organizer
International Conference, Gilles Deleuze and Félix Guattari: Refrains of Freedom, Athens, Greece, 24-26 April 2015(予定)
Place of Presentation
アテネ、ギリシア
Year and Date
2015-04-23 – 2015-04-26