2013 Fiscal Year Annual Research Report
サテライトモデルを用いた、線虫の重力認識機構および長期生存機構の解明
Project/Area Number |
13J09930
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
田中 龍聖 宮崎大学, 医学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | Caenorhabdisis japonica / 長期生存 / 重力認識 |
Research Abstract |
本研究では線虫の重力認識機構および長期生存機構の解明を目的としている。 本年度は主に以下の実験を行った。①線虫C. japonicaの短命時、長期生存時、の発現遺伝子を次世代シーケンサーを用いてRNA seq法により解析。②C. japonicaの重力認識時、非認識時の発現遺伝子を①と同様に解析。③C. japonicaにおける遺伝子の機能解析(RNAi法など)の有用性の確認。④重力認識機構に関連すると考えられるタッチセンサーの機能調査(線虫の振動への反応調査)。⑤有用な他種線虫材料の探索。 その結果、①C. japonicaの短命時、長期生存時で1000以上の遺伝子に発現の差異が見られた。既知の遺伝子として、短命時には代謝活性化、行動制御、に関与すると考えられている遺伝子の高発現が見られた。一方、長期生存時には、代謝抑制、抗酸化、脂質貯蔵、に関与すると考えられている遺伝子の高発現が見られた。また、短命時および長期生存時に高発現している遺伝子のうち、機能不明の遺伝子およびC. japonicaのゲノムデータベースに合致しないものが50%以上存在した。②C. japonicaの重力認識遺伝子の解析では、重力認識時、非認識時の発現遺伝子を次世代シーケンサーで解析した。現在出力されたデータを解析中である。③C. japonicaは雌雄異体であること、および、近交弱性が起こりやすいことから、RNAi法による遺伝子の発現抑制や系統選抜株の維持などが困難であった。④線虫はタッチセンサーにより、特定の周波数の振動を感知していることが明らかとなった。⑤C. japonicaの近縁種およびその他の複数種の線虫において、C. japonicaのような重力認識反応は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、森林総合研究所から宮崎大学への移籍および、ドイツの研究所への出向により、実験基盤を整えるために時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
C. japonica長期生存時に発現している遺伝子の50%以上が未知もしくはデータベース上にないものであったため、C. japonicaのゲノムの再構築を行い、データベースの精度を上げる。 C. japonicaでは、遺伝子の機能解析手法の一部が難しいことが明らかになったため、他種で解析が容易な線虫も比較・解析対象として用いる。
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Research Products
(6 results)