2013 Fiscal Year Annual Research Report
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13J09940
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大和 幹人 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ダイニン / クラミドモナス / 鞭毛・繊毛運動 / 周期構造 |
Research Abstract |
鞭毛・繊毛の内部構造である軸糸は96nmを1ユニットとする周期的な構造を持つ。この周期的構造は原生生物から高等生物に至るまで広く保存されており、鞭毛・繊毛運動に重要な意義を持つと考えられる。しかしその緻密な周期性がどのように構築されるかはよくわかっていなかった。鞭毛・繊毛運動の屈曲波は、軸糸周辺微小管上に整列した軸糸ダイニンが隣接する周辺微小管上を滑ることで生みだされる。本研究のターゲットであるダイニン外腕は、周辺微小管上の特定の結合位置に24nm間隔で配置しているが、その周期性がどのように作られるかは明らかになっていなかった。昨年度実施した研究によって、外腕ダイニンの微小管結合に必須なドッキング複合体ODA-DCの大きさ自体が24nmであり、ODA-DCが微小管上に協同的に結合していくことが明らかになった。これによって、ダイニン外腕の24nm周期の配置は、大きさが24nmのODA-DCが協調的に周辺微小管上に結合していくことでその基礎が作られることが示唆された。これは、鞭毛・繊毛構造における周期性構築の仕組みにせまる初めての発見である。また、鞭毛・繊毛のみならず、アクチンや微小管上における周期的構造がどのように構築されるかといった、他の細胞生物学的問題に与える影響も大きいと考えられる。残る課題としては、ダイニン外腕の周辺微小管表面における結合位置がどのように決定されるかについてである。その結合位置を決定する因子の候補としていくつかの軸糸タンパク質をすでに同定していたが、京都大学の福澤研との共同研究により、ついにそのひとつであるFAP45の変異株を同定した。今後変異株の解析を行い、FAP45タンパク質がODA・DCの結合位置決定にどのように寄与しているかを調べていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
外腕ダイニンの24nm周期がODA-DCによって構築されるモデルを提唱し、それを裏付けるデータが多数得られた(現在PNAS誌に投稿中)。また、これまでにODA-DCの軸糸上での結合位置を決定する因子の候補としてFAP45を同定したが、京都大学福澤研究室との共同研究によって、その変異株を単離することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたFAP45変異株を用いてその局在や機能を解析し、FAP45タンパク質がODA-DCの結合位置決定にどのように寄与しているかを調べる。またFAP45とinvivoで結合するタンパク質として同定したFAP52、FAP144、FAP67についても、福澤研との共同研究により変異株を探索する。それぞれのタンパク質に特異的な抗体はすでに作成してあるので、変異株が単離でき次第その機能解析を進める。
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Research Products
(3 results)