2013 Fiscal Year Annual Research Report
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13J09986
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
勝野 弘子 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アクチン / 軸索輸送 / Shootin1 / クラッチ |
Research Abstract |
アクチンは細胞内に最も多く存在するタンパク質のひとつであり、細胞の形態形成に非常に重要な分子でありながら、その細胞内輸送機構は未だ不明である。本研究では、培養海馬神経細胞を用いて、動的に重合・脱重合するアクチン線維をクラッチ分子Shootin1を介して細胞外基質にっなぎ止めることによりアクチン線維が移動するというアクチン輸送モデルを提唱し、その検証行った。 具体的には、ラット培養海馬神経細胞を用いて、①アクチンの輸送形態、②Shootin1リン酸化によるアクチン輸送への影響、③アクチン輸送の際に生じる駆動力、④アクチン結合タンパク質の輸送、⑤アクチン輸送と突起伸長の関係について解析を行った。また、マウスの培養大脳組織を用いて、⑥脳内におけるアクチン輸送を検証した。 その結果、①軸索内のアクチンの輸送機構にはアクチン線維が重要であること、②Shootin1のリン酸化によりアクチン輸送が促進されること、③アクチン輸送の際には基質に進行方向とは反対向きの力が生じていること、④アクチン結合タンパク質もアクチンと共に軸索内を輸送されることがわかった。さらに、アクチンの輸送と突起伸長の関係を定量解析すると⑥アクチンの塊が突起先端に到達すると先端でのアクチン量が増加し、突起が急激に伸長することがわかった。また、in vivoにおけるアクチン輸送の検証として、マウスの大脳組織に蛍光タンパク質を融合したアクチンを発現させてタイムラプス観察をした結果、⑥培養神経細胞と同様に大脳組織内の神経細胞の軸索内をアクチン塊が移動する様子が観察された。 これらの結果は、本研究で提唱する神経軸索内におけるアクチン輸送機構のモデルを指示するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この1年間の解析を通じて、これまで長らく不明であった神経軸索内におけるアクチンの輸送機構のメカニズムを検証し、本研究で提唱する輸送モデルを指示するようなデータを順調に得ることができた。また、学会発表を通して、細胞内アクチン動態の第一人者James R. Bamburg博士と実験データに関する建設的な議論を重ね、現在これらの議論に基づいて論文の投稿に向けて追い込みにかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検証により、本研究で提唱する軸索内におけるアクチンの輸送機構のモデルを指示するようなデータを得ることが出来ている。そのため今後はさらにそれらをサポートするようなデータを得ていく予定である。具体的には、神経突起の先端でアクチン線維と相互作用することが知られているモータータンパク質MyosinIIのについて軸索内のアクチン輸送に関係しているのかどうかを検証する。
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Research Products
(2 results)