2014 Fiscal Year Annual Research Report
戦後日本の教育委員会の指揮監督権に関する研究-他の行政委員会との比較を通じて
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13J10000
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
大畠 菜穂子 北海学園大学, 経済学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 教育委員会 / 教育長 / 指揮監督権 / 文部省 / 行政委員会 / 執行機関 / 行政組織法 / アメリカ合衆国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、教育委員会制度の骨格を形成する教育委員会と教育長の権限関係について、法的考察を行うものである。教育委員会と教育長は、法文上、指揮監督の主体と客体の関係にあるが、実際には教育委員会が指揮監督権を有効に行使しているとは言い難かった(なお2014年の改正地教行法で指揮監督権は削除された)。本研究は、戦後初期に教育委員会の指揮監督権がどのように設定され、変質してきたかを、その在り方に影響を与えたと考えられるアメリカ合衆国(以下、アメリカ)の教育委員会ならびに日本の他の行政委員会との比較を通じて考察するものである。 2年目にあたる本年度は、アメリカの教育委員会制度に関する研究・調査を実施した。アメリカの教育委員会の歴史について州教育委員会が設置された1900年前後ならびに日本の戦後改革期にあたる1940年代を中心に、先行研究調査および関連資料の収集を行った。また2015年3月9日から20日にかけて、アメリカで現地調査を実施した。 現地調査では、全米州教育委員会協議会へのインタビューならびに第一次米国教育使節団のメンバーが当時教育長に就任していたペンシルバニア州フィラデルフィア市、ワシントン州で教育委員会制度に関する規則等の資料収集を実施した。同調査により、アメリカの教育委員会では、日本のように行政委員会に権限を集中する組織構造を採らずに、教育委員会、教育長、事務局の間で教育行政上の権限を分配しており、教育委員会と教育長の関係も指揮監督関係として明記しているわけでは必ずしもなかったこと、また権限の分配状況も州ごとに非常に多様であることが明らかになった。このことから、日本の教育委員会において教育委員会と教育長が指揮監督関係にあるのは、日本の他の行政委員会の影響であったということができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の日本の行政委員会に関する研究および本年度のアメリカ教育委員会制度に関する調査を通じて、日米の教育委員会制度の組織構造の違いを明確にできた。研究は順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、日本の教育委員会を他の行政委員会、アメリカの教育委員会等と比較して得られたこれまでの研究成果をとりまとめ、単著として刊行する予定である。
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Research Products
(1 results)