2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規数理モデルによるらせん高分子高次構造体の光学活性反転現象の機構解明
Project/Area Number |
13J10001
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
鈴木 望 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | キラル / ポリシラン / 光学活性 / 数理モデル |
Research Abstract |
研究目的シンプルなビルディングブロックを用いて高次構造を制御し、光学活性を反転させることは高分子科学や超分子科学の分野において挑戦的なテーマである。これまで高分子をビルディングブロックとしたいくつかの研究結果が報告されている。しかしながら一般に高分子の高次構造体は、(1)主鎖/側鎖は複数の電子遷移吸収帯を持つため、非常に多数の励起子カプレットの存在により光学活性の帰属が極めて困難、(2)複数の安定構造や準安定構造が混合している。そのため、そのような複雑な不斉高分子超分子系を記述する精密な理論の構築と、その理論検証のための適切なモデル高分子の登場が望まれていた。そこで本研究では(1)主鎖のSiσ-Siσ*遷移に由来する単一の電子遷移吸収帯を持ち、凝集過程における相互作用が疎溶媒相互作用及びファンデルワールスのみであるジアルキルポリシランを用い、(2)凝集構造を二体問題の延長として捉え、らせん構造を幾何的に記述する数理モデルと、exciton chirality法による光学活性の反転と保持を議論する。 (1)側鎖長を系統的に変化させた5種類のジアルキルポリシランを合成した。側鎖長を変化させることは、高分子のらせん直径を変化させることに対応する。 (2)良溶媒に溶かしたポリシランに貧溶媒を徐々に加えて凝集体を作製し、直ちに円偏光(CD)/UV測定を行った。 (3)既に提案されているcholesteric hard-coreモデル(以下CHCモデルと略)とEC法を組み合わせ、側鎖長依存的な光学活性反転現象におけるCD符号の妥当性を議論した。 (4)CHCモデルで説明しきれなかった数式と実験値とのずれを説明する新たな数理モデルを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初提案した数理モデルにおいては左右の反転は議論できるものの、光学活性との関連づけが十分なされていなかった。本年度の研究では数理モデルと光学活性の関係をexciton chirality法によって説明する理論の構築を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
提案された数理モデルには、らせんの直径、周期などのパラメータを得るために分子のモデル化を行う必要がある。しかしながら高分子/オリゴマーの場合、想定される立体配座の数が膨大であるため、効率的に立体配座を検索する必要があるという問題がある。今後は立体配座を効率的に得るためにCONFLEX法(OSAWA法)を導入しモデルの構築を行う方法を提案したい。
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Research Products
(3 results)