2014 Fiscal Year Annual Research Report
細胞間接着構造の極性形成を開始させる新規タンパク質相互作用の構造生物学的研究
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13J10057
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
柴原 豪了 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 細胞接着 / α-catenin / adherens junction / X線結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
H26年度は、H25年度に報告したαN-catenin D1ドメインの単体構造に関する成果を論文として発表する準備を進め、FEBS lettersに現在投稿中である。
H25年度までに、α-catenin/Merlin複合体における研究で、調製した目的タンパク質を用いたin vitro pulldown assayにより、α-cateninとMerlinの相互作用領域の特定を試みた。その結果、α-cateninとMerlinの相互作用には、α-catenin 1-56とMerlin 19-218が重要であることが示唆された。また、αE-cateninのサブタイプであるαN-cateninとαT-cateninにおいても、Merlinと相互作用することが確認できた。そして、相互作用が確認できた領域において、複合体の結晶も得られており、分解能6.0 angstromの回折データが得られていた。 H26年度は、H25年度に報告したα-catenin/Merlin複合体の結晶の分解能を改善するために、結晶化条件の精密化とクライオ条件の検討を行った。しかし、分解能の改善が難航しており、相互作用が確認できている異なる領域において、複合体の結晶化スクリーニング(各領域の組み合わせに対して約1000条件ずつ)を実施した。その結果、H25年度に報告した条件とは別の条件で、いくつかの結晶が得られた。結晶化に用いた溶液で得られた結晶を洗浄し、SDS-PAGEによって複合体であるかを確認した結果、α-catenin/Merlin複合体の結晶である可能性が示唆された。そのため、結晶化条件の精密化を行い、放射光施設でのX線回折実験を行った。現在までに、分解能7.0 angstromの回折データを取得している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H26年度において、αN-cateninのD1ドメインに関する成果を論文として発表するために準備を進め、FEBS lettersに投稿中である。
H25年度に報告したα-catenin/Merlin二者複合体の結晶について、分解能の改善に取り組んでいたが、大きな改善には至らなかった。しかし、H26年度に目的タンパク質の異なる領域の結晶化スクリーニングを実施し、別の結晶化条件を探索した結果、これまでとは異なる複合体の結晶を得ることができた。現在、この得られた複合体結晶の分解能改善し、良質なX線回折データを得るために研究を進めている。
これらのことから、二者複合体の立体構造を明らかにしてその相互作用機構を明らかにするという目的に向かって進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、FEBS lettersに提出中であるαN-catenin D1ドメインの単体構造に関する成果を発表するため、今後も研究を進めていく予定である。
H26年度に得られた新たなα-catenin/Merlin複合体の結晶の分解能を改善するために、今後も結晶化条件の精密化とクライオ条件の検討を行う。分解能の改善が難航する場合、相互作用が確認できている異なる領域について、引き続いて結晶化スクリーニングを試みる予定である。
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