2013 Fiscal Year Annual Research Report
リボソームの不完全性がもたらす高浸透圧耐性獲得機構の研究
Project/Area Number |
13J10157
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
樽澤 武房 岩手大学, 連合農学研究科, 特別研究員(pc1)
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Keywords | リボソーム / 浸透圧ストレス / 塩ストレス / 大腸菌 |
Research Abstract |
本研究は「リボソームの不完全性がもたらす高浸透圧耐性獲得機構」の解明を目指して行われた。 本年度は、塩ストレス条件下での大腸菌の増殖をリアルタイムで測定するため、taitec社のODモニターを利用して、任意のタイミングで培地中に塩を添加し、細胞の増殖変化を測定できるシステム構築を試みた。そして、そのシステムを用いて、細胞に塩耐性をもたらす薬剤の探索を行い、種々の遺伝子欠損株に対する薬剤の効果の差異を観察した。また、野生型大腸菌や種々の遺伝子欠損大腸菌の、塩ストレス前後におけるtotal RNAを回収し, RT-qPCRを用いて、σ^EのmRNA量の経時変化を測定した。 結果として、塩耐性増強効果のある薬剤のうち、カスガマイシンとセリンハイドロキサメートが異なる機構で細胞の塩耐性を高めていることを突き止めた。セリンハイドロキサメートが細胞に塩耐性をもたらすためには, ppGppを介した緊縮応答が起こることが必要であり, 一報でカスガマイシンがもたらす塩耐性にはppGppは必要ではなかった。ppGppの下流のストレス応答因子として典型的であるσ^Sの塩応答における関与を調べた結果, 塩ストレス条件での長期的な生存には関与していることが示唆されたが, 塩ストレス後の増殖再開そのものには影響しないことが示された。また、塩耐性を示す変異株や薬剤処理株では, σ^EのmRNAが塩ストレス後に早起的に活性化することも確認した。さらに, セリンハイドロキサメートによる緊縮応答に伴う増殖の停滞が見られない遺伝子欠損株を見出した。これは細胞の増殖をコントロールする因子の存在を示唆するものとして期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(1 results)