2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J10177
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大谷 隆浩 名古屋大学, 情報科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 音響周波数コム / 構造解析 / 信号解析 / ヘルスモニタリング / 進化的計算 |
Research Abstract |
平成25年度は亜音波帯域の周波数コム信号生成・観測装置を用いた実構造物からの振動特性データ取得と, 大規模並列計算機上におけるシミュレーション及びデータ解析が融合したシステムの構築を目指し, 基盤となる環境の構築とその検証を行った. 周波数領域データの観測技術を活用し, その観測運用戦略と順逆問題解決戦略の相互関係を構築するシステムの概念については日本地球惑星科学連合2013年大会および国内ワークショップにて報告した. コンピュータ上での数値シミュレーションによる解析については, 名古屋大学情報基盤センターに設置されているスーパーコンピュータ上において, 構造解析・シミュレーションを行えるように利用環境を整えた. また, 信号解析ソフトウェアについても適切なものを選定し, 実構造物から得た振動データの解析を行った. 実際の人工構造物を対象とした観測・実験については, 東京理科大学理工学部土木工学科佐伯研究室および日本工営株式会社との共同研究によつて進められた。本年度には道路付帯構造物を対象として, 位相が精密に制御された小型加振機を用いるヘルスモニタリング手法の検証を行った. 具体的には, 一次元の棒に近い構造を持った道路標識の損傷を診断することを目標として, 小型の精密加振機を構造物に取り付けて振動試験を行い, 加速度応答波形を自己回帰モデルに基づいて信号解析することで, 構造物の特性を表す周波数伝達関数を推定する手法を検証した. 亜音波領域の周波数コム信号の発生装置については, 地下の状態を能動的に監視する数Hzから数十Hzの弾性波を発生する精密制御定常信号システム(ACROSS)が約10年にわたって稼働しているが, 現在はより低周波数帯の信号を生成する装置の開発を進めている. また, この装置により生成する信号の概念設計のために, 進化的計算手法を用いた多目的最適化による方法を検討している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の活動により, 実構造物を用いた観測実験と計算機による解析の両面について研究環境を整え, また具体的な課題を明らかに出来た. また, 実構造物を対象とした実験とデータ解析を実践し, それらの成果を学術論文や国際会議等で報告する予定もすでに立てられていることから, おおむね順調に進展していると評価する.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の活動により研究環境が整い, また具体的な課題を明らかに出来たことから, 今後はこれらを活用して課題の解決に向けて研究を進める. 特に観測装置の運用と, 構造推定の際に必要となる最適化アルゴリズムに関して研究を進める. 機器の運用にあたっては送受信装置の故障や設置不良, 劣化により不良なデータが入力され, 余分な雑音が混入してしまうことも考えられる. こうしたデータを除去しながらの構造推定について, また不具合のある観測機器を検出し改善を促す方法について知見を得る. また, 最適化アルゴリズムについては大規模計算環境を効率的に使用した大域的最適化を行う手法について研究し, これらを進めることで構造物の常時監視が可能なシステムの構築を目指す.
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Research Products
(3 results)