2014 Fiscal Year Annual Research Report
(+)-リアノジンの不斉全合成および構造活性相関研究
Project/Area Number |
13J10235
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
枡田 健吾 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 天然物合成 / リアノジン / リアノドール / 不斉合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、様々な類縁天然物の網羅的合成へと応用可能なリアノドールとリアノジンの効率的不斉合成経路の確立を目指した。 (1)リアノドールの不斉全合成:昨年度に大量合成したC2対称中間体から21工程の変換によってリアノドールの不斉全合成を達成した。まず2価コバルト触媒を用いたC2対称中間体の酸化的非対称化と、橋頭位ラジカルのアリル化によって、DE環部を有する4環性骨格を構築した。続く4工程の位置選択的官能基変換の後、C6位への立体選択的アルキル鎖の導入、閉環メタセシスによるC環形成によって、5環性骨格を導いた。C環部官能基化の後、C2位へのイソプロペニル基の導入、C3位ケトンの立体選択的還元によって全ての不斉点を構築した。最後にイソプロペニル基の還元と脱保護を一挙に行い、(+)-リアノドールを導くことに成功した。 (2)リアノジンの不斉全合成:リアノドール合成の中間体からグリシンエステルを経由したピロールカルボン酸エステル導入によってリアノジンの不斉全合成を達成した。まずエステル化に先行し、4つの第三級ヒドロキシ基を2対のボロン酸エステルとして位置選択的に保護した。続くグリシン保護体とのエステル縮合によって、グリシンエステルを合成した。グリシン部位の脱保護の後、ピロール環形成反応を行った。最後に2つのフェニルボロン酸部位を除去した後、接触水素化によるイソプロペニルの還元と2つのベンジル基の除去を行い、(+)-リアノジンの初の不斉全合成を達成した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究課題の中で最も重要かつ困難である(+)-リアノジンの世界初の完全化学合成を達成した。さらに、複雑分子の構造決定法、高極性化合物の精製方法確立など、本年度に蓄積した知見は類縁天然物の網羅的合成に大きく貢献すると期待される。そのため、本年度の達成度は計画以上であったと評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度に確立したリアノジンの合成経路、およびその過程で得た様々な知見を最大限に活かし、多様な酸化度を持つ類縁天然物の網羅的合成へと展開する。具体的にはまず、シンゼイラノール、シンナカソール、およびシンカッシオールBの合成を目指す。
|
Research Products
(2 results)
-
[Journal Article] Total Synthesis of Ryanodol2014
Author(s)
Masanori Nagatomo, Masaki Koshimizu, Kengo Masuda, Toshiki Tabuchi, Daisuke Urabe, Masayuki Inoue
-
Journal Title
Journal of the American Chemical Society
Volume: 136
Pages: 5916-5919
DOI
Peer Reviewed
-
[Presentation] (+)-リアノジンの不斉全合成2014
Author(s)
○枡田健吾, 長友優典, 小清水正樹, 萩原幸司, 田渕俊樹, 占部大介, 井上将行
Organizer
第56回天然有機化合物討論会
Place of Presentation
高知県立県民文化ホール
Year and Date
2014-10-15 – 2014-10-17