2013 Fiscal Year Annual Research Report
界面物理制御を用いた高速混合マイクロリアクターの開発
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13J10236
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福山 真央 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 液液界面 / マイクロ液滴 / 電気化学 / 自然乳化 |
Research Abstract |
本研究は、マイクロ流体デバイス内で生成した数百ナノメートルサイズの液滴(ナノ液滴)を用い、新たな微少量分析プラットフォームの開発を目的としている。具体的には、ナノ液滴内に試薬や試料を閉じ込め、反応・検出を行うことで、単一オルガネラや単一分子の解析が可能になると期待している。本年度は、圧力損失の低いナノ液滴の生成法の確立を目的とし、以下の2つの観点より研究を行った。 ①せん断型マイクロ液滴生成法縦来法)での液滴サイズ縮小に関する検討 従来のマイクロ液滴生成法での液滴径の下限を予想するために、マイクロ液滴生成のメカニズム検討が重要だと考えた。従来の液滴生成の流体力学解析では、界面張力の時間変化の影響を評価できなかった。そこで本研究では、電気化学測定用のマイクロ流体デバイスを新たに開発し、電気容量計測より界面活性剤イオンの吸着を見積もることで、液滴生成時の界面張力変化をはじめて明らかにした。 本研究より、液滴生成時の界面張力の時間変化が液滴サイズ制御に及ぼす影響をはじめて明らかにした。更に、従来法の最小液滴サイズは流路の毛管径の約3倍程度であり、150nm程度が液滴サイズ縮小の限界であることがs明らかとなった。 ②自然乳化を利用したマイクロ流体ナノ液滴生成法の開発 上記の限界を踏まえ、新たに液滴生成構造のサイズに依らないナノ液滴生成法の開発を目指した。本研究では、液滴生成の原理として、非イオン性界面活性剤を利用した自然乳化に注目した。マイクロ液滴を生成し、その界面で自然乳化によりナノ液滴を生成し、流体力を用いてマイクロ/ナノ液滴を分離することで、ナノ液滴のみを分析プロセスに利用できると考えた。実際に、非イオン性界面活性剤であるSpan 80を用いナノ液滴の生成・分離を実証した。マイクロ液滴と界面活性剤溶液の接触時間を制御することで、100-150 nmサイズのナノ液滴を生成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、従来法によるナノ液滴生成の限界を検討し、低圧力損失なナノ液滴生成法を新たに開発した。この結果により、ナノ液滴を利用した分析プラットフォーム開発に向けた技術的基盤が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度開発したナノ液滴生成法を利用し、微少量生化学分析を実証する予定である。具体的には、ナノ液滴内での酵素アッセイや、マイクロ・ナノ液滴間の分配を利用した生化学分析の前処理操作の実証する。
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Research Products
(5 results)