2013 Fiscal Year Annual Research Report
電弱スケールヒッグスセクターの研究による大統一模型の検証
Project/Area Number |
13J10267
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
谷口 裕幸 富山大学, 大学院理工学教育部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 大統一模型 / ヒッグスセクター / 細谷機構 / 超対称性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ヒッグスセクターの研究によって大統一模型を加速器実験で検証することである。 細谷機構を伴った超対称大統一模型(HSGUT)の低エネルギー有効理論のヒッグスセクターは最小超対称標準模型模型(MSSM)のヒッグス場に加えてSU(2)3重項、1重項ヒッグス場によって構成されている。そのため、素粒子標準模型とはずれた結合定数、ヒッグス場質量のスペクトルを持つことが期待される。このことから、ヒッグスセクターに注目しその詳細について研究することで加速器実験での検証可能性について探った。 物理的ヒッグス場質量等に影響を与えるヒッグス場の三点結合定数λΔ、λSは繰り込み群方程式を解くことで求めた。低エネルギースケールにおける値はそれぞれ1.1と0.25であった。この三点結合定数を用いてHSGUTの標準模型的hiッグスボソン質量を求めた。この模型の標準模型的ヒッグスボソン質量はF項を通じて重くなる。この効果によって特にtanβが小さい領域でMSSMと比べて簡単に126GeVを達成することが可能である。またこの模型では荷電ヒッグスボソンの質量が三点結合定数の効果によってMSSMと比べて重くなることが予言される。 ヒッグスセクターの他のパラメータについても繰り込み群方程式を解くことで求め、ヒッグス結合が標準模型からどの程度ずれるのかを検証した。どのベンチマークポイントにおいても国際線形加速器(ILC)の測定精度を超えるずれを示しているため、そのずれは検証可能である。3重項、1重項場が軽いベンチマークポイントでのずれと次最小超対称標準模型のずれは類似しているため区別が困難である。しかしながらこのベンチマークポイントでの三重項的荷電ヒッグスボソンの質量は500GeV以下であることから、ILCの重心エネルギー500GeVのシナリオで直接生成、検証されることが期待できる。よって新粒子の探索と結合定数の精密測定を組み合わせることによって、この模型は他の超対称模型と区別が可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
結合定数のスケール依存性、標準模型的ヒッグスボソンの質量や付加的なヒッグス場質量、標準模型的ヒッグスボソンの崩壊幅などはすべて計算を行った。またベンチマークポイントを用いて模型を区別することができることが判明した。当初の計画であったこれらの計算や結果をまとめて論文を出版したことから、予定通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
大統一模型の加速器実験での検証可能について調べた。細谷機構を伴う超対称大統一模型は低エネルギーヒッグスセクターにMSSMヒッグスボソンに加えてアイソスピン3重項、1重項のヒッグス場を持つ。このことからヒッグスセクターの詳細調べることで検証する可能性について調べた。 今後はこの模型以外の大統一模型の検証可能性を探る。HSGUTでは3重項、1重項ヒッグス場が軽いベンチマークポイントでもヒッグス結合のずれは次最小超対称標準模型と類似しているため、ずれだけでは検証が困難であった。低エネルギー有効理論に現れるヒッグスセクターが比較的軽い付加的なヒッグス場を含むため、ヒッグス結合が他の超対称模型とずれる大統一模型を探る
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Research Products
(9 results)