2013 Fiscal Year Annual Research Report
日常生活空間での病態モニタリングを目指した生体組織の定量化分光断層イメージング
Project/Area Number |
13J10270
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
斉 威 香川大学, 工学部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | フーリェ分光 / 生体組織分光断層イメージング / 広視野分光 / 生体組織成分の定量化 / 準共通光路型分光計 / 広帯域分光 |
Research Abstract |
日常生活空間において糖尿病などの病態をモニタリングする為に、指などの生体組織内部の血糖値等の生体成分を無侵襲で計測する定量化分光断層イメージング技術の確立を目指している。 人体に優しい、高時間分解能、小型且つ安価な計測器が日常生活空間への応用にあたって、求められている。平成25年度、私はこれらの条件を満たす透過型ワンショットフーリエ分光法(我々の研究グループ提案)により、中赤外光領域で分光イメージングが可能であることを実験的に実証した。中赤外光領域への拡張に当たって、位相シフターも含め、光学物品の材質の選定及び加工方法などが大きな課題であった。中赤外光領域に高い透過率がありながら, 高い加工精度(プリズムの直角度0.01deg.以内)で実現できるゲルマニウムを選定した。さらに中赤外光の透過率を上げるために、ARコーディング(表面反射防止加工)を行った。作成した位相シフターの相対傾斜角度は2.295deg、であり, 波長分解能(250nm)、位相シフト量(484μm)及びディテクターの画素数(240*320)によりサンプリング間隔1.51μmであることを算出した。今回の実験は提案手法が中赤外光領域における分光イメージングが可能であることを実証するために、光源は輝線スペクトルが既知のCO_2固体レーザー(メーカ : Access Laser Company、型番 : L3SL、波長 : 10.6ym)を用いた。ディテクターにより空間的インターフェログラムを取得し、これを数学的フーリエ変換により分光強度特性を得ました。光源であるCO_2固体レーザーの輝線スペクトル(波長 : 10.6μm、半値幅 : 0.5μm)が確認できた。以上の実験結果により、提案する透過型ワンショットフーリエ分光法は中赤外領域において、分光イメージングが可能であることを実証した。今後、広帯域な光を有するハロゲンランプなど、中赤外光源を用いて、生体組織などの分光吸光特性を取得する予定である。以上により25年度の研究目標に達成している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度、光光学系の基幹部品である透過型傾斜位相シフターに関して、中赤外光に適用可能である材料選定(カルコゲナイド)と試作を行い、超小型分光イメージング装置(φ=25㎜、ユニット重さ : 数100g)を構築した。そして、中赤外光領域で分光イメージングが可能であることを実験的に実証した。人体に優しい、高時間分解能、小型且つ安価な分光計測器の実現が可能になる。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、広帯域な光を有するハロゲンランプなど、中赤外光源を用いて、干渉強度変化であるインターフェログラムを取得する予定である。しかし、広帯域な光源はレーザーのような単一波長の光源より可干渉性が低いため、インターフェログラムの取得は困難であると考えられる。次に、生体組織成分の計測へ展開する。この際に、生体組織内部において、光拡散などにより分光吸光特性の取得に悪影響を及ぼす可能性がある。そこで、提案手法で計測深さが限定できるため、血管など必要な計測領域だけを抽出することで、光拡散などの影響を避けられると考える。
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Research Products
(2 results)