2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規レスベラトロール結合タンパク質のがん予防における機能解明
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13J10279
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
谷口 知行 京都府立医科大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ケミカルバイオロジー / 結合タンパク / レスベラトロール / がん予防 / 細胞死 / Sirtuin 1 / Phosphodiesterase / プロテアソーム |
Research Abstract |
ブドウやワインに豊富に含まれる食品成分の一つであるレスベラトロールはがん予防効果など様々な生理活性が報告されており、それ故にレスベラトロールの標的タンパク質の発見はその作用機序の解明のみならず、新たな創薬標的の発見に繋がることが期待される。本研究は、研究代表者が新規に見出したRBP1 (resveratrol-binding protein 1)のがん予防における機能を解明することを目標としている。本年度までに、レスベラトロールを前立腺癌細胞株に処理するとRBP1がプロテアソーム依存的に分解されることを見出した。レスベラトロール処理およびRBP1の発現抑制時に、細胞死を伴う細胞像増殖抑制効果がみられ、アポトーシス抑制分子が減少し、発がん促進経路が抑制されることを見出した。RBP1のタンパク質発現枯渇時にレスベラトロールを処理したところ、細胞増殖抑制効果および発がん促進経路の抑制効果が減弱することを見出した。これらの結果から、レスベラトロールはRBP1を標的として、発がん促進経路を抑制することにより抗癌作用を発揮していると考えられる。 本研究により、レスベラトロールの抗癌作用の標的分子として新たにRBP1が見出された。RBP1を標的とすることはがん予防効果に限らず、レスベラトロールのその他の生理活性にも関与している可能性があり、RBP1を標的とする薬剤のスクリーニングによりレスベラトロールの生理活性を模倣可能な薬剤の発見が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り、RBP1の発現抑制時に誘導される細胞死の責任分子およびその上流の発がん促進経路の解明に成功し、レスベラトロール処理時にRBP1が分解されることを見出した。さらに来年度に予定していたRBP1のレスベラトロールの作用における機能解明についても、解析を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、RBP1の発現抑制時に見られる細胞増殖抑制効果と分子機序にsirtuin 1およびphosphodiesteraseが関与しているのか解析する。また、RBP1が発がん促進経路をどのように調節するのか解明する。さらに、これらの解析によって明らかになった現象が、レスベラトロール処理で見られるか検討し、同様にRBP1の発現枯渇時にその効果が減弱するか検討する。
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Research Products
(3 results)