2014 Fiscal Year Annual Research Report
グリーンエネルギーの活用を可能にするエコ水車発電用開放型貫流ランナに関する研究
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13J10285
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
片山 雄介 信州大学, 総合工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 開放型貫流水車 / クロスフロー水車 / 水流方向制御 / 出力特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
極低落差水力エネルギーを対象とした貫流水車の研究は当研究に限らずなされているが,水力エネルギーを利用する上で,ケーシングを持たない開放型貫流ランナと水流制御技術を実現するメリットは極めて大きい.これまで性能対コストの観点から普及に至っていない極低落差用の各種水車ランナと比較して,少ない付帯設備で実現できることが最大の特色である.昨年度までの研究で水車性能に結び付く水流状況を把握し,ランナ形状の検討としてブレード角度の影響を評価した. 今年度は水流制御技術として,室内の落差工からの流量や,水流の落差等を変化させながら,制御技術の有効性を評価した.流量変化時でも同じ位置に水流が落下するように開水路端から1/4円弧と平板からなる曲面流路を設置することで水車発電を可能にした.この曲面流路の変更角度を変化させることで水流自由表面の変動や変形を抑制できることを明らかにした.結果として,水車効率が向上した.また,開放型貫流ランナと水流制御手法のマッチング条件の評価として水車ランナへの水流の作動状態を明らかにした.流量変化時での水車効率の変化や曲面流路と貫流ランナの相対位置関係について検討し,流量や設置条件等の適用の指針を得た. さらに,ブレード角度や枚数について昨年度室内実験で得た結果を踏まえCFD解析によりランナ周りの速度分布を評価した.CFD解析には境界面の変形を扱うことが容易で格子生成作業が不要な粒子法の一つであるMPS(Moving Particle Semi-implicit)法を使用した.CFD解析ではブレード角度変更時の出力発生機構を明確にした.また,水流と貫流ランナの位置関係と水流厚みが水車特性に与える影響について評価した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は研究計画通り遂行できている. 昨年度までは水流状況および,貫流ランナ単体でそれぞれ評価してきた.今年度は開放型貫流ランナと水流制御手法のマッチング条件の評価として水車ランナへの水流の作動状態を明らかにすることで,実験範囲から外れる流量地点や落差地点への適用の指針を得た. 昨年度に室内実験で得た結果をMPS(Moving Particle Semi-implicit)法を用いてCFD解析を行い,実験値と計算値で定性的に一致し,室内実験では計測困難な貫流ランナ周りの速度分布をより詳細に評価できた. また,これら研究結果は4報の論文として発表している.
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Strategy for Future Research Activity |
2年目までに様々な流況における水車特性の知見を得た.今後は水流がブレードに2回作用する特徴を持つ貫流ランナの出力発生機構について実験とCFD解析より解明を試みる.また,実用化する上で問題となりうる課題を抽出する.具体的には,実証試験用水路でゴミの流下による水車性能,水流制御状況への影響を評価する.実験結果如何では水車単体での対策で対応できない場合も考えられるため,その場合には除塵機構についても検討し,その影響を明らかにする.
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Research Products
(9 results)