2013 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌の造腫瘍性に関わる新規 non-coding RNA の探索と機能解析
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13J10303
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉政 宏信 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 大腸癌幹細胞 / non-coding RNA / ユビキチン化制御 |
Research Abstract |
これまでにncRNA-Xが大腸癌の造腫瘍性に重要であることを明らかにし、質量分析によりncRNA-Xの結合候補タンパク質を同定することに成功していた。 次に1年度目の研究実施状況を箇条書きにする。 1. ncRNA-X結合タンパク質Protein-Yの同定 RIPアッセイおよびRNA pull-downアッセイにより、ncRNA-X結合タンパク質としてエピゲノム制御因子Protein-Yを得た。 2. ncRNA-XがProtein-Yに与える影響の解析 NR-Xの発現抑制によってProtein-Yの分解が促進すること、及びncRNA-Xの発現抑制によるProtein-Yタンパク質量の減少が、ユビキチン-プロテアソーム経路によるものであることを明らかにした。 3. Protein-Yを標的とするユビキチンライゲースの同定と解析 ncRNA-X依存的なProtein-Yのユビキチン化を制御しているユビキチンライゲースを同定するために、Protein-YをベイトとしたMS解析を行ったところ、FBXW11及びBTRCがProtein-Yに結合することを見出した。FBXWfamilyとProtein-Yとの結合を確認した結果、FBXW11及びBTRCが特異的にProtein-Yに結合することが明らかとなった。 4. ncRNA-X関連シグナル経路の探索 ncRNA-Xの発現を抑制した細胞を用いてマイクロアレイ解析を行った結果、ncRNA-Xによって制御される遺伝子としてRAS関連遺伝子、低酸素誘導遺伝子が多く同定された。また、Protein-Yの発現抑制によっても、SPRY4やAKAP12といったncRNA-Xターゲット遺伝子の発現が減少することが明らかとなった。さらにSPRY4やAKAP12の発現を抑制することによって、大腸がん細胞の増殖を抑制することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大腸癌幹細胞におけるncRNA-Xの機能を解析するに当たり、ncRNA-Xに結合するタンパク質としてエピゲノム制御因子Protein-Yを同定し、ncRNA-XがProtein-Yのユビキチン化を制御していることを明らかにすることができた。しかし、ncRNA-XがProtein-Yを制御することによる大腸癌幹細胞へ与える影響を解明するには至っておらず、解決するべき課題が残っているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ncRNA-XとProtein-Yによるエピゲノム制御機構の詳細を解明する。その為に、DNA修飾(メチル化、ハイドロキシメチル化)およびヒストン修飾(メチル化、アセチル化、ユビキチン化)について経時的に調べ、ターゲット遺伝子の発現との関連を明らかにする。また、低酸素状態におけるNR-X - Protein-Y複合体の機能解析も進め、癌細胞の低酸素状態への適応とncRNA-Xとの関連も明らかにしていきたい。
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Research Products
(1 results)